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2015-09-16 00:00
日本は、インドを見習ってしたたかに生きよ
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
わが国では、安保法案をめぐり国内が割れている。一方世界の主な関心は、やはり米中の動きだ。今月の下旬に中国の習近平主席が訪米予定であるが、色々なニュースが飛び交いだしている。「米政府高官が訪中しているが、それは、サイバー攻撃問題の懸念をつたえるためだ」とか、かしましい。中国側は、拘束中であった著名人権活動家を解放したりしている。また、中国の李首相は、大連での「世界経済フォーラム(夏季ダボス会議)」において、「われわれは元安によって輸出を刺激することは望んでいない」、「そうしたやり方は中国の構造改革の流れにそぐわない」、「世界的な通貨戦争を望んでいない」、「中国経済は、世界と高度に融合しているのだ」などと述べ、最近の中国株式市場の大波乱などの火消しに大わらわである。
米側について言えば、「サイバー問題を理由に経済制裁は行わない(ワシントンポスト電子版)」などを始め、「米ボーイング737型機の最終工程を中国へ移転する(仏報道)」などが注目される。国外では、安倍首相ともウマが合っていた親日派のアボット豪首相が辞任し、代わりに親中派と目されるターンブル首相が就任した。スリランカでは、その反対の政変があった。戦略的には、中国にとり仮想敵国のインドを包囲する「真珠の首飾り」構想の破たんを意味する訳で、中国にとっては痛い失点だろう。
知り合いのインド人研究者によれば、「中国は、インドの敵国であるパキスタンへおおっぴらに軍事援助をしているし、中国は、インドと領土問題で係争中で(彼によれば、日本と違い、50年の長きにわたり対決していると述べている)けしからん国だが、しかし、一方インドは、習近平主席の訪問を受け入れている(習は、モディ首相の本拠地のグジャラート州都から入国)。インドは、中国からの対インド投資の受け入れ(200億米ドル)、原子力協力の受け入れについても、現時点では、賛意を示している。AIIBには、真っ先に加入した。国が生き抜いていくためには、純粋だけではだめだ、したたかさが必要だ」と述べた。さらに彼いわく、「米中があまりにも近くなりすぎ、インドをのけ者(marginalize)にされても困るが、自分の見方では、中国は、口で言うのと違い、本心では、米とは戦争、対決を望んでいない。インドと同じように、国の一番の秀才たちは皆、米国で勉強しているからだ。そこは賢く判断ができる」とのことである。
昨日の参議院の公聴会での、坂本一哉大阪大学教授の発言(大意)「日米の抑止力向上が中国の独善的行動を阻止し、(かえって)日中関係改善を促進させる」が、物事の本筋を鋭くついている。今回の安保法案問題で、にじみ出てきた、日本の一部保守層の反米思想が気になった。これは、ある日本人学者によれば敗戦、占領期の色々なおりがたまっていて、それが昇華できていない、そうかといって、米と対決するかというとそれもできないキチンとした決意のない反米思想だそうだ。キツネと狸の群がる国際社会においては、インドを見習い、したたかにしぶとく生きていくべきではないかと思う。
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