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2015-09-11 00:00
北京での軍事パレードが意味するもの
鈴木 馨祐
衆議院議員(自由民主党)
さる9月3日、北京の天安門広場で「抗日戦勝70年」の記念式典と軍事パレードが行われました。国内ではあまり指摘されていませんが、この一連の動きは「アメリカのアジア・西太平洋での軍事的プレゼンスをどう逓減させていくか」という中国共産党の大戦略に沿った動きという方が正確なような気がします。習近平主席が間もなくアメリカを公式訪問します。このタイミングでアメリカ側に軍事的な力を見せつけ、首脳会談におけるオバマ大統領の対中融和的な発言を引き出し、米中関係を長期的に中国に有利に展開していく、というシナリオが見え隠れしていると言っていいのではないでしょうか。
報道によれば、今回の軍事パレードでことさらに強調されていたのは、アメリカの本土を射程におさめる大陸間弾道ミサイルであり、またアメリカの航空母艦をターゲットにした対艦ミサイルであったとのことです。実際にパレードに姿を現さなかったこの対艦ミサイルは、射程が4000kmにまで延ばされたもので既に実用段階にあるとパレードでアナウンスされていたとのことで、いわゆる第二列島線までのA2ADを確実なものにする存在と考えられます。さらにアメリカの国防総省によれば、中国海軍の艦船がロシアとアラスカの間のベーリング海峡を航行したのを確認したとのことであり、このタイミングでのこれらの行動は明らかな示威行為と考えざるを得ません。
東アジアの国、特に中国に接する韓国や台湾、ベトナムなどが中国と距離を置き、日本や米国のサイドに立てるか否かは、アメリカのアジアに於けるプレゼンスとコミットメントが強い意志の下で実質的に維持されるか否かにかかっています。そして同時に、横須賀にドック機能を持ち、沖縄を中心に米海軍や海兵隊の強力な基地を有し、アメリカ軍と緊密な連携をする能力を有する自衛隊を擁する日本とアメリカの同盟関係が強固であり続けるかということも、アメリカのプレゼンス同様に、アジア地域における安定に大きく寄与するファクターです。この様な軍拡を行い、東シナ海や南シナ海で傍若無人な武力行使を繰り広げながら、「他国を一切侵さず平和な中国」と強調し続ける中国共産党がアジアで圧倒的な力を持つようになれば、アジア地域の安定や人々の自由、経済的な繁栄にとっての大きなリスクともなります。
日本が国際社会の中でも適切な責任を果たすことが出来るようなプレーヤーとなることはもちろんのこと、アメリカがアジア・西太平洋への軍事的なコミットメントをどのようにして明確にできるか、短期的には習近平主席訪米の場でのオバマ大統領の対応がどの程度明確なものになるか、アジア全体が固唾をのんで注目しているといって過言ではありません。今回の習近平主席の訪米はこの点で極めて重要な分岐点ともなりかねない会談でもあります。米国政府には長期的な戦略的な視野に立った適切な対応をぜひ求めたいと思います。
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