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2015-08-29 00:00
(連載2)人民元切り下げで市場自壊
田村 秀男
ジャーナリスト
興味深いのは、国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)の反応である。IMFは、今回の元安調整は前日の元の取引相場を基準値にするので「市場実勢を反映させる措置」として歓迎している。米財務省もIMFの評価を黙認するのだが、なんとも奇妙だ。基準値の参考指標である前日の「市場相場」なるものは人民銀行が介入などで人為的に操作した産物なのだから、とても市場実勢とは言い難い。IMFもオバマ政権も無理やり黒を白と言いくるめてまで、北京を擁護しているかのようだ。ワシントンは北京と裏取引したのか。
もし元の大幅切り下げとなると、米国を含め世界の産業界への衝撃が大きく、不安定な国際金融市場に激震が走るだろう。94年に中国は元を33%切り下げたら、97年のアジア通貨危機の誘因になった。小幅な元安調整はワシントンにとってもアジアにとっても次善策になる。
IMFは今回の元切り下げは、元をIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨として認定させるうえでは障害にならないと言明している。そればかりか、IMFが14日に発表した中国に関する年次審査報告書では、「元は安過ぎではない」とした後に続けて、「3年以内に変動相場制に移行すべき」と勧告した。いわばアメとムチである。
ワシントンは、北京が執念を燃やす元の国際通貨化と引き換えに、変動制移行の約束を迫ったわけだ。それはウォール街などの国際金融資本の利益機会となる。中国にとってはどうか。熱銭は為替変動リスクを恐れて細るだろう。だが、通貨の自由変動は金融市場の全般的な自由化とセットであり、党指令の市場経済モデルの放棄を迫られる。さりとて、資本逃避の加速からみて、現行制度に固執しても脆弱な金融市場は自壊しかねない。習総書記はさて、どうする。(おわり)
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