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2015-08-22 00:00
中東の安定の鍵を握る小国オマーン
川上 高司
拓殖大学教授
アメリカとイランがイランの核問題で合意に達し、両国の外交路線が宥和に転換したのは多くの外交上の努力の積み重ねがあったのはもちろんだが、中でも湾岸諸国のオマーンが果たした役割は大きかった。外交が途絶えていたアメリカとイランの対話の仲介をしたのがオマーンの国王だった。そこから交渉が始まったのである。
湾岸諸国でありながらスンニ派国家であるサウジアラビアとは一線を画し、シーア派のイランとは友好関係を維持している。中東を二分するような宗派闘争には関心がないオマーンは、8月6日シリアのモアレム外相を招待し、アラウイ外相と会談した。このシリア外相のオマーン訪問は、2011年にシリアで内戦が始まって以来初めてのことである。2人はシリア内戦を終結させるために協力していくことで一致したという。
オマーンはイランとエジプト、サウジアラビアとイランとの対話の仲介もした実績がある。最近では、アメリカとイエメンのホーシ派との停戦交渉の仲介も果たした。そんなオマーンの外交の基本方針は、シーア派イランとスンニ派サウジアラビアとの橋渡しになることであるという。そもそもオマーンはイランを他のスンニ派諸国ほど「脅威」だと見ていない。むしろイランとの関係を悪化させることは中東の平和にとってはマイナスにしかならないと見ている。
シリア問題はアサド大統領の進退をめぐって退陣を要求するアメリカやサウジアラビアと、存続を支持するイランやロシアが真っ向から対峙している。さらにISIS問題が絡み合って複雑で難しい問題となっている。イランとアメリカも数年前までは一触即発の危機にあった。シリア問題も外交交渉を根気よく重ねていけば、平和的に解決する可能性がないわけではない。オマーンはその困難な道に、中東の安定のために「平和の仲介者」として踏み出したのである。小国ならではの外交力に期待したい。
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