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2015-08-19 00:00
安倍談話および各国の反応についての私見
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
8月17日付けの姉妹e-論壇「議論百出」に掲載された倉西雅子氏の投稿「戦後70年談話に対する中韓の反応から真意を読む」の内容は、談話に対して真正面から考えられており、また日本人の一部の意見を代表する内容だと思われるので、これを土台に私の考えを述べてみたい。
まず、安倍総理の談話についての立場は、当初の基本姿勢からは大分軌道修正をしていると見られる。というのも、総理は、今次内閣就任そうそう国会で、「侵略」には定義はないと真っ向から中韓を批判する姿勢をみせていたが、今回の談話の内容は、「侵略」、「植民地支配」、「おわび」のてんこ盛りと言ってもよいものだった。談話には、中学、高校生が復習するかのように、日露戦争、満州事変など歴史のキーワードが並ぶ。安倍総理の支持基盤であるいわゆる「美しい日本」のグループが嫌う次の世代へ責任の引き継ぎについては、「永劫の、哀悼の誠を捧げます」(英文では、I express My feelings of profound grief and my eternal,sinnsece condolennces.)となっており、後に禍根を残すものとなった。
総理は、談話よりもこれから採決となる「安保法制」を大幅に優先させた形だ。しかし、在日の米の学者は、談話の前に発表された論文においてではあるが、この法制が無事採択されたりしたとしても、日本の米国へのMilitary operationへの貢献は、米の他の同盟国のどこよりもすくないままであると述べている。安倍総理が先月米議会で大見えを切って拍手喝采を得たてまえ、今後米側の反動がどう出てくるか怖いものがある。安倍談話は、作者のひとりとみなされる北岡伸一教授の「中韓を対象とするのではなく、その向こうにいる、自由と民主などの普遍的価値観を有する国々が対象」の作文ではあろうが、談話直前の安倍支持の若手議員グループは真逆の言動で批判を受けたことは何たる皮肉であろうか。
米メディアでは「OLD JAPAN and TODAY’S CHINA」との表現があるが、今の中国の言動は、昔の日本と同じであると言われても仕方がない。また、この文章は、安倍総理の考えを、与党・政府のエリート集団が寄ってたかって、細目に批判防止の予防線を張り巡らせた造作物といったものであろう。韓国からの、「この談話は、いろいろ考えて作成している。もう少し読み込んでから意見を述べたい」との言い方も頷けないことはない。いずれにしても談話の最大の欠点は、対象がどっちつかずになっているということだ。最後に歴史に興味のある方々にリマインドすると、全体主義国家の中国の歴史学界は、一次史料の読解の基本的知識、史料に基づくミクロの研究など、きわめて制限されていて、先進国とは土台が根本から違うということである。国家に都合の悪い部分は任意に削り、中国の公式の歴史観を補強する材料にするということだ。
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