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2015-08-04 00:00
国立競技場問題は、消費税増税の先送りが原因では
若林 洋介
自営業
国立競技場の建設をめぐって、とうとう安倍首相は白紙に戻す決断をするに至った。この問題の最大要因として、消費税増税の先送りがあったのではないか。時系列的で整理すると次のようになる。
2012年8月10日、消費税増税法案成立。
2012年11月16日、新国立競技場、ザハ案決定。
2013年9月7日、東京オリンピック開催決定。
2014年11月18日、安倍首相、消費税増税、延期表明。
つまりは、消費税増税を前提にして、オリンピック予算が膨張しても確保できるという見通しであった。猪瀬元都知事の東京招致演説で「財源の心配はまったくない」ということをアピールできたのも、消費税の増税を織り込んでの表明であった。デザイン面でインパクトのあるザハ案も東京招致のためのアピールのためには不可欠であった。安藤氏もその思惑であった。ところが、安倍首相の消費税増税延期の決断で、オリンピック膨張予算の財源のアテがはずれ、財源確保のために、選手の強化対策費にまで手をつけなくてはならなくなった。そうなると、選手達としてはたまったものじゃない。増額要求したい気持ちを抑えて来たというのが選手達のホンネであり、削減をされては身銭を切ってまで海外遠征しなくてはならなくなる。そういう声が出て来た。国民もそういう選手達の声を支持した。この際、ザハ案にこだわる理由はどこにもない。東京招致はくつがえることはない。それが安倍首相の決断であった。
オリンピックの問題点は、二つある。7月末から8月初旬の時期で、猛暑つづきの場合。屋外競技は、早朝開催としても、選手や観客が熱中症患者が続出することが心配。救急体制の整備もさることながら、死者が続出すれば大惨事オリンピックということになる。競技は早朝でも、猛暑の中、観光客が日中外出して行動できないとなると、東京近郊の観光地へは足を運ばなくなる。そうなると、猪瀬元都知事が構想していたように、夜中も含めた24時間、地下鉄営業なども必要となる。 それと中国がアメリカを抜いて金メダルラッシュ。中国の強さをまざまざと見せつけられるオリンピックとなる可能性が大である。また正確な予測ではないが、外国人観光客の3分の1は中国人観光客ということになるのではないのか。つまりは、中国選手の金メダルラッシュに、大量の中国人応援団が熱狂するということにはなりはしないか。「中国が世界を制圧した東京オリンピック」という状況が生まれて来る気がしてならない。
日本側は、よほど選択と集中によって、メダル獲得に特化したアスリートの強化対策を講じていかなければ、「中国の世界制覇」を目の当たりにした惨めなオリンピックとなるだろう。立派な競技施設と「おもてなし」で日本をアピールしても、いざ競技が始まったら、中国にどんどん金メダルをさらわれていく姿と、それに熱狂する大量の中国人応援団の姿を、日本国民は見せ付けられるだけではないのか。選手の強化対策費に手をつけてまで、競技場などの施設設備に予算を振り向けることはしてはいけない。競技場は1000億円におさめて、500億円は、アスリート強化対策費に回すべきだろう。「中国圧勝・世界制覇」「ニッポン惨敗」の東京オリンピックにだけはしてほしくない。
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