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2015-07-31 00:00
(連載1)「強い人民元」で自滅する中国
田村 秀男
ジャーナリスト
ギリシャの債務返済不履行と中国株バブル崩壊。様相は異なるが、双方ともに自国経済の非常時に対応できない通貨制度が根底にある。欧州共通通貨ユーロ自体はドル、円など他通貨に対して自由に変動するのだが、ギリシャはユーロ相場を決定付ける金融政策をドイツ・フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)の手に委ねている。
欧州連合(EU)との債務救済交渉が決裂すれば、ユーロから離脱して旧通貨「ドラクマ」を復活させるしかない。新ドラクマの価値はユーロに対して極端なまでに低く評価されるので、国民は当分の間は今よりももっと厳しい耐乏生活を強いられるだろうが、中長期的には視界が開けてくる。独立した中央銀行は思う存分に金融緩和できる。外国人にとって通貨が安いギリシャ旅行や投資の魅力が増し、主力の観光産業が活気づくだろう。
中国の場合、共産党中央が通貨人民元をコントロールする。公称は「管理変動相場制」だが、実態は準固定相場制だ。中国人民銀行が日々設定する中心レートの上下2%の範囲内での変動に制限している。その結果、他通貨に対し人民元のレートの上昇基調が続いている。対照的に、モノ経済を表す鉄道貨物輸送量は伸び悩んだ揚げ句、昨年初めから下がり続けている。国内総生産(GDP)は7%前後の成長というが、生産しても売れない。需要不足で供給過剰だから、価格が下がる。通貨高・物価下落基調はデフレ不況の特徴だ。日本のように慢性化すれば脱出が難しい。
打開策は元安になるはずだが、そうはいかない。まずは執拗に元の切り上げを求める米国議会が反発して、対中貿易制裁を発動するだろう。ワシントンはもともと、元の変動相場制移行を求めてこなかった。元の自由化は中国経済の崩壊を招きかねないので、急がないという認識はブッシュ前政権以来、北京との間で共有されている。変動自由にしないかわりに、小幅に元を切り上げる。(つづく)
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