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2006-11-30 00:00
連載投稿(2)試される東アジアのリージョナル・ガバナンス
舛島 貞
大学助教授
鳥インフルエンザについては緊急性が高かったので、第1回東アジア・サミット(EAS)が開催されたクアラルンプールで直ちに「鳥インフルエンザ宣言」が採択されたが、今回の海賊問題はそれに続く案件であった。しかし、結局、中国など3国が参加しないものとなった。原因としては、海賊情報センターがシンガポールにおかれたこと、また日本が主導していたことなどが挙げられているが、確かではない。
ただ、いずれにしても、海賊問題という、どのように考えてもコントロールしなければならない問題でも、国益や内政との関係で実現しないということが十分にありえるということが示された点は間違いなかろう。また、アセアンが一枚岩ではないこと、この当たり前とも言える事実もまた突きつけられることになった。公益性の高い協力であっても、いかに崇高な理想があろうとも、現実的な「外交」がリージョナル・ガバナンスの形成には依然存在し、その公益性や理想に背を向けることがある。地域協力体制の基礎をなす諸協定に参加しない自由を各国は常に有しているである。
東アジア共同体を考える際に、リージョナル・ガバナンスを具体化していく諸協定に各国がしっかり参加するように、いかなる方策を講じるかということが大切である。この点は確かに大切だ。しかし、無理な参加要請や動員は、アセアンがそもそも有している緩やかな統合、各国の自立性の尊重という原則を歪めかねない。そうなると、虫食い状の協定を積み重ねつつ、それを補完する2国間協定などをきめ細やかに配することによって、この地域のリージョナル・ガバナンスを機能させていくことのほうが、現実味があるように感じる。これはコストのかかることであるが、今のところは、そうしたものを目指しているということのようである。(おわり)
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