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2015-06-20 00:00
(連載2)AIIBの陰にある米国問題
中村 仁
元全国紙記者
報道されている協定案によると、中国の独裁色が濃く、国際金融機関としての透明性にかけるという問題があります。「総裁は中国人がなる。12人の理事は非常勤で、中国に勤務する必要はない」というのは、ちょっと露骨ではないのか。「融資にあたって、環境や人権への配慮があいまい」、「中国が加盟国にインフラ輸出をして稼ごうという腹なのだろう」。これらの批判はあたっており、中国が独走しないように、加盟国も国際機関も日米などのけん制していかねばなりません。
中国も東シナ海の岩礁を埋め立てなど、乱暴な振る舞いに反省しているとは思えないこともあり、日本の対中批判は悪しざまです。安倍首相が「高利貸し」呼ばわりしたり、論壇誌に「習近平は、集金平だ」とか「中国のたくらみにのるな」とか、品性に欠けた悪口が目につきます。感情論が対中論の軸になっており、世界秩序や金融秩序をどう形成していくかという冷静で大局的な論点が、メディアにも論壇にも乏しいのです。米国議会の共和党系が「AIIBへの出資を認めない」という態度ですから、外交辞令はともかく、米政府は参加表明できないでしょう。対米関係が最大の軸になっている日本政府も、当初はどうしたらよいのか分らず、米国の顔色を伺っていました。米国がこういうことなら、不参加でしょうね。
AIIB問題が日本でこれほど大論争になったのは、加盟の難しさというより、「この中国版銀行がいずれ日米主導のアジア開銀を追い越す」、「シルクロードへの投資、開発を含め、中国が一段と巨大な存在になる」という将来予測のためでしょう。米国が神経をとがらせているのは、「国際金融秩序が米国中心からシフトしかねない」、「中国主導の世界秩序に次第に変化していく」という恐れ、懸念のためでしょう。
中国版アジア銀行構想の底流と、大きな歴史の流れの変化は重なっているとみられます。日米が参加してもしなくても、この変化は進んでいくのでしょう。日本通の米学者、エズラ・ヴォーゲル氏による「中国のような資本力のある国が投資するのは好ましい。日米が積極的に関与すべきだ」との発言が目にとまりました。対中批判に没頭し、中国と一線を画すことばかりに終始していては、得るものは少ないですね。(おわり)
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