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2006-11-29 00:00
連載投稿(1)疑問符を投げかけられたアジア海賊取締体制
舛島 貞
大学助教授
「アジアにおける海賊行為及び船舶に対する武装強盗との戦いに関する地域協力協定」(「アジア海賊対策地域協力協定」、ReCAPP)が本年9月4日に発効した。参加国はアセアン+3を中心にバングラディシュも加わり、11カ国となっている。この協定は、「海賊に関する情報共有体制と各国協力網の構築を通じて海上保安機関間の協力強化を図ること」を目的とし、情報共有センターを設立し、海賊行為等に関する情報を共有し、容疑者・被害者および船舶の発見、容疑者の逮捕、容疑船舶の拿捕、被害者の救助養成などの面で、各国の協力網を構築しようとするものである。
このセンターは全体をマネージするというよりも、情報センターとして機能し、同センターを経由しない締約国間の2国間協力の促進も同時に提唱されている。この協定の成立には日本が積極的に関わった。2006年11月15日付け「CEACコラム」に掲載された五百旗頭真氏の「東アジア 共同運営を」で述べている、「東アジアにおける日本の主導的立場を回復する」ことにも繋がりそうな、日本の東アジア地域に対する貢献だと評価できよう。
しかし、海賊問題に積極的に取り組んできた日本からは、この協定の発効を喜ぶ声とともに、嘆息もまた聞こえてくる。9月18日に須田・国際テロ対策大使は、スピーチにおいて以下のように述べた。「情報共有の強化と取締りにおける協力に関し、9月4日のアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)の発効を歓迎する。ReCAAPが、今後マ・シ海峡を含む地域の海域における海上安全の確保において、重要な役割を果たしていくことを期待する。我が国も財政面等での支援を実施していく。また同協定がより実効的なものとなるためには、インドネシア、マレーシアの協定への参加が不可欠である。更に効果を発揮するためには、中国等の参加も不可欠であり、これらの国の参加を改めて慫慂したい」。
マラッカ海峡や南シナ海が海賊被害の多い地域であることを考えれば、マレーシア、インドネシア、そして中国の不参加は、この協定のみならず、海賊取締体制の形成そのものに疑問符を投げかける要素となっている。
他方、このReCCPのケースは、「東アジア共同体」を想定する上での興味深いケーススタディなのではないか、と筆者は考える。「東アジア共同体」は、アセアンを中心とした地域協力として想定され、そこでは機能が特に重視されてきた。実現されるべきはFTAやEPAもあるが、テロ、鳥インフルエンザ、エネルギー、海賊問題などの地域に共通する課題を克服していくことにあった。この点は、2005年12月14日にクアラルンプールで開催された第1回「東アジア首脳会議(EAS)」において、小泉総理がスピーチで強調されたところでもある。リージョナル・ガバナンスをいかに機能させていけるのか、ということが、「東アジア共同体」を考える上で極めて重要な部分として位置づけられている。(つづく)
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