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2015-06-07 00:00
(連載2)金融緩和偏重に限界
田村 秀男
ジャーナリスト
株価が上がれば、景気はよくなるのか。米国は個人消費も民間企業設備投資も完璧に近い相関ぶりだ。米国では量的緩和で株式市場がにぎわい、株価上昇とともに景気がよくなっていく。日本の場合も、設備投資の相関係数が示すように株式市場経由で景気が連動するのだが、度合いは低い。個人消費は逆に振れているが、消費税増税による悪影響のせいだろう。ちなみに日銀がこわごわとしながら量的緩和政策に踏み切った01~06年の株価に対する個人消費の相関係数は、プラス0・61である。
日米の違いは、経済に占める株式の比重からくる。家計の金融資産では米国は現預金の比率が昨年末で13%、日本は52%で、企業金融は米国が証券市場主体である。日本も大企業はそうなりつつあるものの、中小企業は銀行借り入れに依存している。とはいえ、日本には日本の伝統があり、米国型経済に簡単に構造転換できるはずはない。
そんな現実を踏まえると、日本が量的緩和偏重で脱デフレと景気回復を早期に達成することは無理のように見える。安倍晋三首相がともかく、消費税率10%への引き上げを17年4月に先延ばしし、さらに「首相任期中は10%超の消費税率引き上げはやらない」と宣言したことはまさに正解だが、それだけでは不十分だ。いかに成長率を引き上げ、かつ持続させるかの戦略を打ち出す必要がある。
鍵になるのは、第2の矢、財政と第3の矢を第1の矢にいかに組み合わせるか、である。株式という米国の市場主導型の追随に限界がある以上、日本特有の経済モデルとして政府の役割を再評価しなければならない。日本には分厚い中小企業の裾野があり、しかも、超精密加工技術、特色のある電子技術、バイオ、環境などで民間が高い潜在力を持つ。政府が航空宇宙、海洋開発、医療、核融合を含む新エネルギーなどのプロジェクトを起こし、財政資金を投入し、民間を先導していく。規制緩和や地方再生も目標を決め、スケールの大きい成長戦略に組み込むべきだ。(おわり)
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