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2006-11-27 00:00
「実感」に即した国際関係を
河東 哲夫
Japan-World Trends代表
自分の家は東京の郊外にあって、周りには畑や神社や寺が点在している。ある日、そのうちの一つ、名も知れぬ小さな神社を犬を連れて通りかかると、境内から掛け声が聞こえる。見ると20人ほどの年長の方々が集まって、なにやら体操をしておられる。その動きは、どこか普通の体操とは違う。そこで自分ははっとした。まさかこれは神社で中国の太極拳をやっているのではあるまいな、と。だが、地面に置かれたラジカセから流れる掛け声に耳を澄ますと、それはまさしく中国語の「イー、アー、サン」。自分は驚くとともに、苦笑した。あれだけ中国が騒がれているのに、日本人の精神的奥の院であるはずの神社で太極拳をやっている、市民レベルでは、中国もごく当たり前の存在として考えられているのだな、と思ったのだ。
中国は我々の日常生活に入り込んでいる。ラーメン屋では中国人のウェイトレスやコックがいない方がもう珍しい。新聞配達も中国人留学生がアルバイトでやっている。あれだけ反日とか嫌中とか言われたのに、実際にはごく自然に受け入れられている。ある日、電話で中年女性2人の会話を何気なく聞いていたら、「あたし、先週中国に行ってきたのよ。北京。そしたらね、タクシーの料金なんかメーター通りで、心配してたことなんか全然なかった」ということだった。ラジオでは、上海に住んでいる日本人達の生活風景が毎週紹介されている。
市民レベルから、日中関係の本当の中身が作り上げられつつある。政府間、そして自衛隊と中国軍の間の関係も、こうした市民レベルの「実感」に根ざしたものであるべきだ。自分は無政府主義でも大衆至上主義でも「日中友好」至上主義でもないが、政治家や政府が問題をいたずらに激化させても、社会から浮き上がったことはいつかしっぺ返しを受ける、ということは言える。日中関係をポピュリスト的な目的のために利用してはならない、ということだ。
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