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2015-06-06 00:00
(連載1)金融緩和偏重に限界
田村 秀男
ジャーナリスト
消費税増税しても、景気には響かないと安倍首相に思い込ませた黒田東彦日銀総裁も、最近になって「予想以上の悪影響」を認めたものの、景気は今や増税後遺症を払拭しつつあるとの見解を押し通している。判断を誤った結果は大したことはない、との自己弁護のように聞こえる。同じく判断を間違えて増税一本槍のメディアは、日経を先頭に「黒田節」を鵜呑みにする論調である。現実を見据えると、真相は以下のとおりだ。
1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、景気回復の期待と不安を交錯させる結果となった。アベノミクスは昨年4月の消費税増税によって受けた深刻な打撃を解消していけるだろうか。アベノミクスを代表するのは、日銀の金融量的緩和(「異次元緩和」)による第1の矢である。第2の矢である「機動的財政出動」効果は消費税増税で自爆し、第3の矢、成長戦略による経済効果は曖昧模糊としている。従って、本稿では第1の矢の成果に焦点を合わせた。
量的緩和とは平たく言えば、中央銀行がおカネをじゃんじゃん刷って金融市場に流し込む。短期金利を操作する従来の金融政策と異なるから、米連邦準備制度理事会(FRB)は「非伝統的」、日銀は「異次元」と呼ぶ。カネを刷れば景気がよくなるとは、まるでおとぎ話に聞こえるのだから、「そんなバカな」という批判も根強い。結果はどうか。2008年9月の「100年に1度の大津波」と騒がれたリーマンショック後、14年10月まで6年間、FRBが量的緩和を実施した米国の場合、大成功である。日本の場合は、実施期間もまだ2年余りで成否を問うには早すぎるが、米国の景気へとつながる道筋を参考にすれば、日本の課題も見えてくる。
アベノミクスの日本と量的緩和の米国の、期間中に生じた各種統計数値をもとに、独立変数を中央銀行の資金供給量(マネタリーベース)と株価の2つに分けて、項目別に相関係数を見ると、日本の場合、日銀がカネを刷ってもGDPはほとんど動かないのに、米国では極めて強く共振している。株価に対しては、日本も米国と見劣りしないほど相関度が高い。日米とも、カネを刷れば株価が上がるのだ。(つづく)
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