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2006-11-24 00:00
連載投稿(3)日本からアジア地域統合の功労者を輩出せよ
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
「岡倉天心アジア大賞」が創設されたとした場合の第3番目の受賞者は、金大中元韓国大統領である。同氏は、「ASEAN+3」13カ国の民間有識者によって構成される「東アジア・ヴィジョン・グループ(EAVG)」と政府代表によって構成される「東アジア・スタディ・グループ(EASG)」の生みの親である。
EAVGは、2001年に報告書をまとめ、13カ国で「東アジア共同体」を目指すべきだとした最初のものであるが、それを受けてEASGが2002年に最終報告書をまとめ、共同体建設に向けて様々な提案を行った。現在、毎年開催されている「東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)」や「東アジア・フォーラム(East Asia Forum)」等々は、EASGの提言を実現したものである。
これまで述べたように、マハティール、ゴー・チョク・トン、それに金大中の3人は、アジア地域統合の推進に際立った貢献を果たした。これらの人々を正当に顕彰する「岡倉天心アジア大賞」をわが国政府が創れば、以下2点において大きな意味がある。
第1に、他のアジア諸国は、率直に言って、わが国のアジア地域統合に対する政策姿勢にかなり失望しているが、これをきっかけに見直してくれることになるであろう。とりわけ、マハティールに、わが国政府が「岡倉天心アジア大賞」の第1回目の栄誉を与えるとしたら、日本人にあるいわば「マハティール・アンビバレンス」を解消することを意味するからである。私の言う「マハティール・アンビバレンス」とは、彼の唱えた「ルック・イースト政策」とか、1990年のEAEG構想それ自体は、多くの日本人にとって大変喜ばしいことに違いなかったが、他方、彼の言動がアメリカの余りにも強い反発を買うために、そういう人を支持してはいけないという、これまた対米配慮が働き、ストレートにマハティールを支持できない人が多いのである。
第2に、1世紀以上も前に、国際的な公論の場で、「アジアは一つ」と唱え、アジアの一体化を求めた日本人がいることを広く世界に知らしめることは、わが国がアジア地域統合に対してリーダーシップを発揮していく上での歴史的正当性を与えることになるであろう。いずれにせよ、わが日本の指導者の中から、アジア地域統合推進の真の功労者が早く出ることを望みたいものである。(おわり)
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