ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2015-04-04 00:00
(連載2)旅券返納問題はジャーナリストの役割低下の証左
加藤 朗
桜美林大学教授
不法入国であろうが合法入国であろうが、いずれにしてもジャーナリストはある種の特権意識や特権があるということが改めてわかった。前者は、報道に当たるジャーナリストだから不法入国は許されると考える。他方後者はジャーナリストだからプレス・ビザが発給される。いずれであれ、ジャーナリストであるがゆえの特権意識であり特権である。
それは報道するというジャーナリストの使命であって特権意識ではないという反論が聞こえてきそうである。しかし、ジャーナリストがもはや特権階級ではないということを明らかにしたのは他ならぬ「イスラム国」である。ネットが発達する以前ならテロ側の口舌となって主張を伝えてくれるジャーナリストの役割は大きかった。だが、ネットで自らの主張を発信できる「イスラム国」にはジャーナリストなど無用で、容赦なく彼らを殺害している。
他方、多くの人々の耳目となって紛争地の現状がどうなっているかを我々に伝えてくれるジャーナリストの役割はかつては大きかった。しかし、ネットの発達した今日、紛争地の現状もまた戦場カメラマンではなく現場に居合わせた人々がネットで配信してくれる。戦闘が激化しているウクライナから砲爆撃の生々しい模様をYOUTUBEで伝えているのは現地住民である。
ジャーナリストが伝えるのは今では戦闘の跡や難民キャンプの様子である。それとてもその場で暮らす人々や支援にあたるNGOがネットで伝えてくれる。それでもなおジャーナリストの役割があるとすれば、それは一体何だろう。旅券返納問題は、結局ジャーナリストの役割が低下したことの表れではないか。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会