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2015-03-29 00:00
(連載2)中国型アジア銀行の本当の大問題
中村 仁
元全国紙記者
アジア・インフラ投資銀行への参加表明は、多くはアジア諸国で、インド、インドネシア、タイなど2、30か国にのぼります。英独仏伊などの欧州諸国は加盟して、入札などでインフラ整備の事業を受注したいという思惑です。米国に近い韓国も加盟に手を上げたのも、仕事欲しさです。アジアにはそれほどの資金需要、投資対象があるのに、なぜ超金融緩和の日米欧からおカネがまわっていかないのしょうか。ここが極めて重要な部分です。先進国のお金は、主に目先の利ざや稼ぎを狙った短期資金でしょう。途上国は投資にリスクもある長期資金を求めています。欧米型のマネー市場に資金をゆだねていると、本当に必要なところにおカネが行かないのです。
アジア・インフラ投資銀行をめぐる国内の議論をみていますと、「中国が支配力を握り、融資や審査基準が不透明になる」、「理事会もなく、組織運営や意思決定にプロセスがあいまいである」、「環境、人権など社会的配慮がきちんとなされるか疑問」などが主なテーマですね。特に日米は中国の影響力の増大を嫌っています。アジア開発銀行の二大出資国(総裁は日本人)でもあり、影が薄くなるのがいやなのです。
日本は、麻生副総理が「検討する」といってみたり、「中国の返事がないので慎重に考える」といってみたり、優柔不断で、だらしないですね。最近では、政府は「アジア開銀との協調融資もありうる」とかいっています。中国の外貨準備高は3兆8千億ドルで世界一位、大半を低利の米国債で運用しています。それを新銀行の資本金や融資に回そうという考えでしょう。日本は中国に次ぐ世界2位で、1兆2千億ドルの準備高です。主体性を持つべき地位にいるのに、安倍政権は米国に頭があがりません。
この段階になって焦るくらいなら、早くからアジア開銀の資金規模を増やすことを考えておくべきだったでしょう。もっと本質的な課題は、中央銀行がいくら金融緩和しても、企業買収や資産投資にばかりおカネが回りやすいという欧米型マネー市場のあり方をどう考えるかです。安倍政権は「戦後最大級の改革に取り組む」といったのですから、これを機会に世界の発展につながる緩和マネーの使い方について、きちんとした構想を持つべきですね。(おわり)
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