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2015-03-24 00:00
アジアインフラ投資銀行にみる中国の真の戦略
鈴木 馨祐
衆議院議員
このところ、政治的に急速に注目されてきているのがAIIB、アジアインフラ投資銀行という代物です。その背後で糸を引いているのが中国。背景は二つあると言われています。一つは、中国国内の急成長を支えた経済特区とそれにかかるインフラがらみの公共事業が、今後成長余力が望めなくなってくる中で、経済成長・雇用の両面から海外でのインフラ展開に向かっているということ。そしてもう一つが、IMFや世銀のような国際金融機関ではなく、国際金融、開発の世界で、自らの影響力を強めた国際機関を欲しがったということ。この二つです。
事態が急展開したのは、3月12日に突然G7の一角であるイギリスが参加の意向を表明し、それに続いて独仏伊の三か国が参加を表明と、先進国が参加を表明したことによります。現時点で日本とアメリカはそこへの参加に慎重なわけですが、われわれはどのような判断をすべきなのか、極めて重要な判断です。仕組みがどうなるとか、それに関与すればいいのではないかなど、いろいろな議論はされていますが、われわれが一番に考えねばならないのは、なぜ中国がこのAIIBを設立しようとしたのか、という真意です。
公正な運営のガバナンスが保障されれば、といった議論も一部ではされているようですが、中国の立場からすれば、このAIIBにおいて公正なガバナンスが確保されてしまうのであるならば、そもそも、手間のかかる国際金融機関の設立などわざわざする必要は無く、既存の世銀等の枠組みを活用すればいいだけの話なわけで、意のままとなる「国際機関」が必要だという、中国の真の意図を我々は見誤るわけにはいきません。中国がこれまで開発援助や国際金融の世界で、どれだけ、真の経済成長や途上国の貧困削減のためにならない投資をやりたい放題やってきたか、そして、そのような手を使って政治力を獲得してきたか。この点を忘れるべきではありません。あくまでそれをカモフラージュする、「国際機関」というフィルターで目くらましする、という目的があることは火を見るより明らかです。
仮にG7が求めるような基準をクリアした国際金融機関にAIIBがなるのであれば、中国がそこにコミットするメリットは無くなります。つまり日本やアメリカやヨーロッパの国、イギリスなどが、その面で妥協しないで参加しうる、中国主導の国際金融機関というものは実は理論上あり得ないということになります。今後日米首脳会談も予定されていますし、日本といろいろな利害や価値を共有するオーストラリア、韓国などの国々と歩調をあわせられるような努力をわが国としては危機感を持って進めていく必要があります。
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