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2015-03-15 00:00
(連載2)メルケル首相、もっと広げた「過去」こそ問題
中村 仁
元全国紙記者
イスラム過激派テロが激化するにつれ、「中東の国境線は、主として欧州が中東を踏みにじった歴史の産物だ」、「民族の居住地を無視して国境線を引き、民族が引き裂かれた」など、矛盾をはらむ領土分割、植民地経営の時代にさかのぼった論評が目につくようになりました。英仏に最も大きな責任があるにせよ、ドイツもビスマルクの時代に植民地帝国主義宣言をしました。中東、アフリカを含めれば、イスラム過激派の反乱は、そうした「負の過去」に報復されているといえます。さらに最近は南欧諸国に中東、アフリカの紛争地からの難民が押しかけ、難民対策が限界に達しているそうです。移民問題から難民問題へ、これも「誤った過去」の延長線上にあります。
米国の繁栄は黒人社会に対する差別が前提になってきました。欧州の繁栄は移民社会に対する差別が前提になってきました。その前提が崩壊し始めているのが、現在でしょうね。だから黒人暴動や過激派テロという暴力を容認するのではありません。少なくとも「過去への反省」をいうなら、100年、200年前にさかのぼって「過去」を広げなければなりません。
最後に、メルケル首相は講演でいい発言をしています。「和解は隣国の寛容な振る舞い」によるという下りです。中韓を念頭に置いているとの解説があります。そのことを質問された中国の報道局幹部は「日本の政治家が正しい選択をするよう希望する」と、紋きり型の返事でした。
中韓の対日批判は、外国上のツールに謝罪問題を使っているところに難しさがあります。日本の謝罪を認めてしまうと外交手段、さらに国内統治のツールをひとつ失うのです。一方、日本はきちんと、すでに謝罪しているのに、首相が靖国神社を参拝したり、過去の謝罪談話を修正するようなことを示唆したりしては、中韓に対日批判を蒸し返す機会与えているのです。この点では、ドイツのしたたかさを学ぶべきでしょうね。(おわり)
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