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2015-02-26 00:00
シンポジウム「日中民間交流のあり方」に参加して
池尾 愛子
早稲田大学教授
国際シンポジウム「日中関係の深化と拡大に向けた民間交流のあり方」が2月24日に都内で、東アジア共同体評議会、清華大学日本研究センター、北京師範大学国際比較教育研究院、北京第二外国語学院日本歴史文化研究センターの共催で開催された。2013年12月20日に開催された国際シンポジウム「未来志向の関係構築における日中青年交流のあり方」の第2弾といってよい。2013年のシンポジウム報告書は東アジア共同体評議会のウェブサイトに掲載されている(http://www.ceac.jp/j/pdf/study2/201402.pdf)。その時よりも関係者による議論がはるかに深化していて、かつ、とても和やかな打ちとけた雰囲気の中で進行したのが大変印象深かった。(私の感想は2013年12月21日の本e-論壇にある。)
シンポジウムは「留学生交流を中心とした青年交流の現状と課題」、「未来志向の関係構築における日中民間交流のあり方」の2つのセッションに分けられた。それぞれの言語文化の教育が重要であることは揺るがないものの、日中の民間交流について、短期留学、情報交流、スポーツや芸術を通じての交流、日中留学経験者交流など多層的な交流の推進が期待されるようだ。中国では小学生の時から英語が義務教育化されているので、日中交流において第三の言語である英語を利用することが可能である、またメディアを利用しての交流が考えられることなどと、複数の人々から意見が出た。国際交流を活発にするためにも、中国の大気汚染・環境問題の改善を望む声は大きい。中国側は依然として環境対策を青年交流のテーマの一つにしたいようである。
中国の大学の国際化動向は注目してよい。厦門(アモイ)大学がマレーシアに分校を創る予定であり、これは厦門大学にとっても中国にとっても初めての試みであると紹介された。配布資料によって、中国政府が2007-10年に博士課程大学院生を派遣した国をその人数別でみると、トップ4はアメリカ、イギリス、ドイツ、日本の順になっている。2013年に、中国にいる外国人留学生を人数別でみると、トップ10は、韓国、アメリカ、タイ、日本、ロシア、インドネシア、ベトナム、インド、カザフスタン、パキスタンの順であった。中国に留学する日本人留学生は減少傾向にあり、この年にタイに抜かれたとのことであった。
中国に来る留学生をみると、アフリカ・ヨーロッパから急増しているとのことであった。しかしデータを見て気づいたのであるが、派遣国上位にはイギリスとドイツが入っているが、ヨーロッパから受け入れる留学生の出身国はトップ10には入っていない。中国ではヨーロッパや欧州連合(EU)についてどのように教えられているのかと疑問がわいてきた。同様にしてヨーロッパ各国では、中国についてどのように教えられているのかについても興味がわく。中国への留学を促すような教育はなされているのだろうか。今後は日中の若者たちが様々な国々の若者を交えて交流する機会がますます増えることが予想されるので、地域教育や外国教育の事情を知りたいものである。
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