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2015-02-08 00:00
(連載1)「イスラム国」のYOUTUBEテロ
加藤 朗
桜美林大学教授
テロは心理的暴力である。殺傷、破壊という物理的暴力を恐怖という心理的暴力に変えて身代金の獲得、人質の交換、政治宣伝などの目的を達成する。この物理的暴力を心理的暴力に変換し、テロを宣伝、広報する手段としてのメディアである。テロの歴史は、メディアの発達の歴史でもある。そもそも現代テロの始まりは、1968年7月にパレスチナ解放人民戦線がイスラエルのエルアル機をハイジャックしたことに始まる。目的は、世界にパレスチナ問題を知らせることにあった。しかし、当時はまだ衛星中継が十分に発達せずに世界的なニュースになることはなかった。その後衛星中継の発達とともに、テレビはテロの心理的恐怖を拡散させるメディアとして重要な役割を果たした。
1972年、パレスチナ過激 派組織「黒い九月」によるミュンヘン・オリンピック襲撃事件、1977年の日本赤軍による日航機ハイジャック事件など、事件の経過が刻々とテレビで放映され、国際社会に大きな衝撃を与えた。そして、2001年のアルカイダによる9.11同時多発テロでは、世界中の何十億もの人々が世界貿易センタービルの倒壊をテレビで同時に目撃し、テロの恐怖に心底震撼したのである。
テレビに加えて1980年代に入ると新たなメディアが登場してきた。それはビデオである。ビデオの登場によってテロ組織はテロの目的をビデオに録画し、放送局を通じ放送できるようになった。それまでは単にテロ事件が報道されるだけであったのが、テロ組織が自らの目的を発信する手段を得たのである。その結果、自爆犯が事前に録画したテロ決行の決意表明を録画したビデオが放送局を通じて放映されるようになった。とはいえ自らテレビ放送をすることまではできなかった。
こうした状況を劇的に変えたのがネットの発達である。フェースブックやツイッターなどSNSを使えば今や誰もが自らの主張を世界中に瞬時に伝えることができる。また、YOUTUBEを使えば動画さえも世界中に配信できる。個人がマスメディアを手に入れたのである。ネットのマスメディアの特性を利用してアルカイダは広報誌や広報ビデオをネットを通じて世界中に配信し、自らの活動を宣伝している。(つづく)
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