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2015-01-09 00:00
安倍は未来志向・長期展望の「談話」を目指せ
杉浦 正章
政治評論家
大久保忠教(彦左衛門)によって書かれた徳川家の家訓書・三河物語は「勝ってかぶとのの緒を締めよ」と戒めている。今年の政局を展望すれば、総選挙圧勝を背景に首相・安倍晋三には、一見たんたんとした道が開けているように見えるが、政府・与党は「地雷原を行くが如し」と身を引き締めなければならない。また今年は、つきについている「安倍の幸福」を「国民の幸福」につなげなければならない年でもある。アベノミクスの可非を問う成長戦略実行の年であり、まずその真価が問われる。外交・安保では戦後70周年を迎える節目の年であり、「安倍談話」が集団的自衛権の行使容認法制と並んで世界が注目、与野党論戦の焦点になる。戦後70年といえば既に2世代が交代している時代であり、談話は中韓両国の思惑を外して、歴史認識を5%くらいにとどめ、後の95%を未来を担う小中高校生が、日本国民として胸を張り希望を抱くことのできる内容とすべきであろう。総じて安倍の前途は洋々として広がっている。
アベノミクスは消費税2%分に相当する石油価格の暴落に支えられて、財界は「アベノミクス買い」の空気にあふれている。石油の低価格は2年間は続く。三菱商事社長・小林健は社内向けの年頭挨拶で「今年は円安、油価安、金利安のメリットを最大限活用する」と宣言した。さすがに実業家は何でも“不安”に結びつける馬鹿な経済評論家とは異なる。地方の中小企業も「暮れには久しぶりにボーナスを出して、社員の明るい顔を見ることが出来た」と涙ぐましいほどの告白をする社長も出てきた。今ほど経営者の能力が試されるときはない。この好機を逸する経営者は落第と心得るべきだ。企業として尊敬に値するトヨタも嫌らしい名古屋的“貯め込み”の風潮から離脱して、内部留保をいたずらに積み上げずに、基本給を大幅に上げるべき時だ。財界の空気もそうなってきている。
安倍が9月の自民党総裁選で売名立候補者を蹴散らして再選されることは99%確実だ。1%は安倍が過労で倒れる危険性だけだ。通常国会では、2年で2回もの脳しんとうに襲われた野党は与党のなすがままとなる。総選挙野党大敗後の国会は。総じて予算案も年度内に成立する。予算を人質に取るなどという国会戦術は「国賊」扱いされるからだ。しかし、マスコミが安倍の弱点を探し出し、あれこれ足を引っ張ることは確実だ。こともあろうに6日のNHKの解説番組「時論公論」を見て、その「偏向ぶり」に愕然とした。30分に延長した特別番組で数人の解説委員が発言したが、政治全般担当の解説副委員長・城本勝が一番ひどかった。なんと安倍政権を「戦後最低の投票率で国民の圧倒的支持を得たとは言えない」とこき下ろしたのだ。小学生でも知っている民主主義の原則を無視した発言であり、これが政治担当とはあきれる。社会担当の寒川由美子も「反対の世論が多いのに原発再稼働」「自民党の推す候補が全敗したにもかかわらず辺野古へ移転」「集団的自衛権の行使も世論が2つに割れている」と安倍政治に噛みついた。ちょっとその能力に首を傾げたくなる解説委員長・西川吉郎は「世界の構造が中国を中心に動いている」とこれまたノーテンキというか、誇大妄想というしかない御卓説。中立であることが法的に求められているNHKがこれでは、他の民放は推して知るべきである。これを見逃しているようでは、やっぱりNHK会長人事は間違いだった。
こうした負け惜しみの風潮は、国民の審判を無視して、唯我独尊を推し進めようとする卑怯極まりない「エセ民主主義」の思想であり、マスコミが最も抑制しなければならないところであろう。独裁政権を導き出すからだ。安倍は新年の記者会見で寒川同様の質問に対して「自民党としては公約に掲げて明確にしている。また党首討論でも説明している。公約してきたことは実行の責任を負う。それを問うのが選挙だ」と反論したが、当然である。原発再稼働に至っては2年前の総選挙、参院選挙、都知事選の公約となっており、何と4度目の民意が「ゴー」を示しているのであって、躊躇する話ではない。辺野古移転は国際公約の最たるものであり、沖縄以外の民意が全て賛同している。集団的自衛権の行使も国際常識であることが選挙結果で支持されたのだ。
そこで集団的自衛権の行使と並ぶ重要性を持つ戦後70年の安倍談話だが、安倍は「村山談話を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場は全体として引き継ぐ。アジア太平洋地域や世界平和のためにさらにどのような貢献をしてゆくか、世界に発信できるようなものを英知を集めて考える」と述べている。「全体として引き継ぐ」の意味は、陳謝の村山談話と従軍慰安婦の問題に関しておわびと反省の意を表明した「河野談話」については引き継ぐが、強制連行を認めた愚かな「河野発言」は受け継がないということだろう。朝日の昭和史に残る大誤報を基にした河野発言は、朝日の「陳謝」とともに当然否定されるべきものだ。戦後70年もたっていまだに周辺国に謝るのは、中韓両国の反日路線の思惑に陥るだけであり、国民の意気にも重大な影響を及ぼす。だから新談話は「村山・河野談話を引き継ぐ」とお経のように唱えるだけでよい。むしろ戦後70年戦争を繰り返した中国が再び東・南シナ海で覇権を求める行動をし、ロシアが国威発揚を狙ってウクライナ問題を巻き起こしていることこそ非難されるべきであろう。中露は戦勝70年で記念行事を行うというが、今現在存在する泥棒が刑期を終えた泥棒を批判してはいけない。それこそ盗っ人猛々しいと言うことになる。安倍は日教組に毒され続けている青少年に自信を持たせる長期を見据えた「100年談話」を考え出すべきだ。それと同時に事前に米国に根回しをして談話発表と同時にオバマが支持発言するように段取りを計らなければならない。キーポイントはここだ。
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