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2015-01-06 00:00
(連載1)円安は日本の安売りという愚行
中村 仁
元全国紙記者
アベノミクス(経済政策)では、異次元の金融緩和により、円安を実質的に誘導しています。経済体力に見合った円・ドル相場ならともかく、2年前に1ドル=80円だったのが120円まで円が下落すると、さすがに弊害のほうが大きいぞと、批判されるようになってきました。「日本は自国の通貨価値の下落を喜んでいる珍しい国だ」とまで酷評する人もいます。安倍さん、どうですか。
円安を受けて企業収益が見かけだけ増え、株高も進み、輸入物価があがり、安倍政権、黒田日銀総裁は満足の様子ですね。円安で日本企業が輸出競争力を回復して輸出が盛り返し、好景気になるという経済循環がはじまれば、円安の効果を評価してもよいでしょう。そうはなっていないのと、円安の負の面が目立ってきているような気がしてなりません。経済的実力に見合った為替相場よりも、円安に振れますと、いいことはあまりないのです。経済のグローバリゼーションが進み、1国の経済は外貨に換算して国際比較する時代になっています。円建てだけでみては、判断を誤ってしまいます。それが常識なのに、安倍政権も日銀もそうすると、都合が悪いのか、そのことに触れたがりません。
14年の統計では、「日本のGDP(国内総生産)はついに中国の半分に」という記事を見かけ、驚きました。2009年に日本は中国にGDPで抜かれ3位になりました。その後、日本はゼロに近い成長、中国は7、8%の成長で差が広がったにせよ、中国の経済規模が4年で日本の2倍になるなんて、どうしたことでしょう。ドル表示では、日本は4・8兆ドル、中国は10・4兆ドルで、確かに倍以上の開きです。日本円の価値は2、3年で5割もドル換算で減価しているので、日本の経済価値も、国際比較では急減してしまったのです。
安倍政権の発足以来、株高が続き、昨年の暮れには株価は1万7千台半をつけました。2年前は1万円強(1ドル=85円)でしたから、円ではすごい値上がりですね。円ベースで値上がりしても、円安が進み、ドル建てでみた国際価値の上昇はそれほど大したことはありません。昨年10月の追加金融緩和後をみると、ドル建ての株価は値下がり気味です。海外投資家はドル建てでいくら儲かるのかで判断しますから、日本人が円建ての株価だけみて喜んでいるのとは違います。同じモノを輸出しても、円安になると、日本人の手取りは減ってしまいます。1台80万円の自動車を輸出すると、1万ドルの売り上げになったのに、今では1台120万円の自動車を海外に売らないと、1万ドルの売り上げになりません。日本人の労働価値を減らしているのと同じことです。円安は日本の安売りなのです。(つづく)
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