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2006-11-09 00:00
中国の対アフリカ外交から反省点を考える
石垣泰司
東海大学法科大学院教授
11月4-5日中国が国交のあるアフリカ48ヶ国元首首脳を北京に招いて開催した催しは、世界の注目を集めた一大ショウであった。これを、日本政府が1993年からアフリカ諸国首脳を東京に呼んで開催しているTICAD(アフリカ開発会議)の単なる模倣であり、日本より遅れて今になってやっと開いたまで、といってしまえばそれまでであるが、今回の中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議は、全世界に放映された姿を見る限り我が国が音頭をとって開催しているTICADとは多少違っているように見えた。
それは、胡錦涛主席以下中国の多数の政治指導者が前面に出てアフリカとの友好をうたいあげ、北京市内各所に中国とアフリカの友好を記した大看板を張りめぐらしたことに示されているように、官僚事務当局がすべてお膳立てして総理は会議や夕食会に適宜顔を出し格好をつけるといった我が国のやりかたとは、演出の仕方や気合いの入れ方にかなりの差異があったのではないだろうか。中国は、今回アフリカ諸国首脳に対し3年間で援助倍増と貿易拡大等を約する「北京サミット宣言」や「北京行動計画」を採択する一方、中国はなおアフリカと同じ発展途上国仲間とアピールしたというからその巧妙な論理の使い分けにはただただ恐れ入るばかりである。
今般の北京での中国・アフリカ首脳会議に前後して参加アフリカ諸国首脳が続々と来日しており、小職もカガメ・ルアンダ大統領の特別講演で同国の周知の大量虐殺事件以後の国家再建・和解に取り組む苦心談を聴く機会があった。
我が国の対アフリカ外交が中国に決定的に立ち後れている点は、中国は、国交のある文字通りすべてのアフリカの独立国に大使館実館を設置し、日常の外交活動を行うとともに、胡錦涛主席や温家宝首相が比較的頻繁に現地を訪問しているのに対し、我が国の場合は、在アフリカ地域の実館は、中国の半数以下であり、しかも首脳、外相レベルの訪問は数年に一度しか行われないということにはっきりと現れている。アフリカ地域の我が国公館実館数が中国より格段少なく見劣りすることについては、外務当局・一部政治家も危機感をもち、その著増に向け機構・予算要求を開始したようであるが、既に関係方面より反発を受け、実現は容易ではなさそうである。
また、東アジア共同体構想の関連で他の地域協力機構が言及される場合、とかく欧州連合(EU)の例だけ引き合いに出されるが、アフリカ地域では1963年以来アフリカ統一機構(OAU)が活動し、さらに同機構は、2002年7月「アフリカ連合」(AU)に発展的に改組されている。AUは、EUにならって、総会の他、理事会や汎アフリカ議会および司法裁判所の機関を備えるなどの注目すべき機構づくりを行い、人権尊重原則も掲げている。われわれは、対外政策を論じる場合、ともすれば視界からアフリカ関係の動きが全く欠落しがちであるが、中国の上記のような外交パーフォーマンスを見せつけられると否応なく強く反省を迫られる思いである。
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