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2014-11-05 00:00
黒田日銀総裁は再増税延期を安倍首相に進言すべき
田村 秀男
ジャーナリスト
消費税増税による災厄が明らかになる中、来年10月から再増税すべきかどうか、議論が本格化してきた。政権与党として増税法案を成立させた民主党の影は薄い。海江田万里代表は某新聞社の大失敗に学んで、さっさと素直に「われわれが仕掛けた増税のせいで国民を窮地に追い込みました」と陳謝して出直せばよいものを。自民党はさすがに多様だ。増税派が多数を占める自民党内にあって、首相の経済政策「アベノミクス」の仕掛け人と目される山本幸三衆院議員が勉強会を招集して「再増税は厳しい。景気の腰折れを招くのは必至だ」と述べ、10%への引き上げは1年半先送りすべきだと論じた。山本氏は旧大蔵省(現在の財務省)に同期トップで入省した経歴の持ち主で、財務省に同調してきたのだが、豹変した。
山本氏は、日銀の異次元緩和効果によって消費税増税に伴うデフレ圧力はかわせるとの見解だった。同じ財務官僚上がりの黒田東彦日銀総裁は安倍晋三首相に予定通りの増税実施を勧めたのだった。結果は、山本氏の危機感を裏付ける。あらためて、8%への増税後の日本経済がどうなっているかを、円の対ドル相場、株価、鉱工業生産、家計消費の動向を、アベノミクスが事実上始まった2012年12月を100とする指数に置き換え、株価には日経平均ではなく、グローバル指標であるドル表示のMSCI日本株価を選んで見てみる。
一目瞭然、株価と生産動向は13年12月までは円安のトレンドに引き上げられるように上向いてきたが、今年に入って以来変調をきたした。6、7月に持ち直しかけたが、9月から再発した円安トレンドとは逆にドル建ての株価は下落局面にある。円安=株高という方程式は成り立たなくなったのだ。鉱工業生産のほうももはや円安が効かない。消費のほうは、4月の増税前の駆け込み需要で大きくジャンプした後は、急峻な崖を転がり落ちるようになり、7、8月も底ばいの状況で、夏場以降のV字型回復どころではない。
もともと、アベノミクスの最大の柱は「第1の矢」とされる異次元金融緩和である。「第2の矢」機動的財政出動は一時的な景気の水増し効果しかない。「第3の矢」成長戦略は当面の景気とは無縁だ。異次元金融緩和はインフレ率を押し上げて実質金利をマイナスにし、消費者や企業にカネを使わせる狙いがあるが、家計は物価上昇に伴う実質収入の目減りのために、財布のヒモを締める。企業は内需の低迷をみて国内生産や投資に慎重だ。ところが、黒田日銀総裁は依然として円安容認の姿勢を示している。瀕死状態に追い込まれたアベノミクスを蘇生させるためには、「もう一段の円安=株高・輸出増」に賭けざるをえないだろうが、消費税増税がその方程式を壊した紛れもない事実がある。黒田さんは山本議員に見習って、再増税延期を安倍首相に進言すべきだ。
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