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2014-10-12 00:00
(連載2)国際関係激動の年である2014年
坂本 正弘
日本国際フォーラム上席研究員
次は、「チャンスの中国に香港の難題」である。ロシヤ情勢混迷、中東紛糾は中国に損でない。米国に対抗し、自国標準の国際システムを目指す目標からすれば、中国は露中接近で石油や先端武器を獲得するのみならず、米国の照射をロシヤの背後に隠れてやり過ごし、アジアでの国際的威信を強くする機会である。11月の北京のAPEC首脳会議は、習政権に絶好の機会である。アジア・インフラ銀行設立提案もその一環だが、人民元国際化も推進しよう。中国の軍事力の充実は過去には常に西側専門家の予想を上回る実績を持つが、中国は2020年に経済を倍増し、軍事でも局地的情報化戦争に勝利の高い目標を持つ。但し、中国の経済調整は予想以上に困難だ。更に、足元の香港情勢は習政権への難題である。
他に、「世界の警察官?米国」ということもあげられる。米ロ関係の悪化、ISISの脅威は米国の負担を高め、アジア回帰路線を空洞化する虞がある。しかし、同時に、NATOの復活による欧州との関係強化や中国の大国振りへ対応し、日、豪、多くのアセアン諸国の対米関係の強化などのプラスもある。幸い、経済も回復し、シェールガス革命が進展し、財政状況も改善している。700の軍事基地と瞬時の投射能力を持つ米国なくして世界の安全保障は語れない状況が続いている。
また、「アベノミクスと国家安全保障会議」ということもあげられる。アベノミクスは日本の国際的存在感を高め、その首脳外交も世界を駆け巡り、企業代表を伴う経済外交も評価される。だが、日中関係は改善の兆しはあるが、尖閣問題は緊張し、日韓関係、日朝関係の今後も不透明である。日露関係は接近への潜在力があるが、ウクライナ問題が障害である。ISISには資金援助だが、複雑な対応が必要で、香港情勢も目が離せない。世界の激動の中、日本は昨年、国家安全保障会議を創設し、新防衛大綱は統合機動防衛力の充実を目標に、西南方面の防衛体制の整備に力を注ぐが、日米防衛ガイドライン改定による日米関係の強化が改めて重要である。
最後は、「世界統御形態変化後の新秩序」というこである。歴史的上、世界の統御形態変化後の新秩序形成は30-40年を要している。フランス革命は1789年だが、ナポレオン敗退、ウイーン会議を経て、パックスブリタニカの成立・安定は1820年代である。1914年の第一次大戦は大不況、第2次大戦を経て、欧州の世界支配終焉を結果したが、米ソ2極体制の固定は1950年代である。1989年の冷戦崩壊が、2014年の激動を経ていかなる新秩序に続くか、非常に重要な検討事項である。(おわり)
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