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2006-11-01 00:00
アジア版CSCE樹立をめざすべき
河東 哲夫
Japan-World Trends代表
北朝鮮の核実験を境に、東アジアにおけるパワー・バランスに変化、と言うのが言いすぎならば、動意が見られる。そのきっかけは、これまではロシアと組んでアメリカに過度に干渉されることを防いできた中国が、北朝鮮の問題では中国銀行の北朝鮮口座を凍結したあたりからアメリカへの協力姿勢を強めてきたことにある。中国は同時に、安倍首相の訪中も受け入れ、これまでの日中対立から協力の方向に大きく舵を切った。
中国は、あと20年で60歳以上が3億人に及ぼうかという、世界に最たる老人大国となる運命を持っている。だから国民の不満の顕在化を防ぐことのできる「小康社会」を短期間で建設することに最大の政策重点を置いている。国内的には統一の維持、対外的にはステータス・クオの維持が至上命題である。今回の中国の姿勢変化も基本的には、右の事情に基づくものだろう。
北朝鮮の核開発をめぐって、日米中の利害がこれまでにないほど一致している。東アジアの繁栄と安定を、この3国が中心となって確保していくための基盤ができつつある。日本では、アメリカが中国に接近して日本を袖にすることを警戒する声があるが、日米中はゼロサムの関係にはない。この3国の関係は、いずれの1国も他の2国を必要とする絶妙なバランスの上に成り立っている。
米国と欧州とソ連は1975年、ヘルシンキ宣言を採択して「欧州安全保障協力会議」(CSCE)を立ち上げた。彼らは話し合い以外の手段で現国境を変えることはないことを確認し、東西間のステータス・クオの維持、交流の増大に向け大きな一歩を踏み出した。
アジア版CSCEは、台湾問題と朝鮮半島の問題のために不可能だと思われてきたが、台湾については現状維持が最も望ましいことで関係者の間で意見は一致している。北朝鮮の核開発問題も、朝鮮半島のステータス・クオを確保する方向で解決をはかり、もってアジア版CSCE樹立をめざすべきではないか。
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