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2014-09-28 00:00
スコットランドの独立をめぐる一連の動きについて思う
鈴木 馨祐
衆議院議員
スコットランドにおける独立に関する国民投票が否決されました。事前の予想よりも大きな差での否決となりました。直前で賛成派の優勢が伝えられて、実際に独立する可能性が高まったところで、現実的な反応が急速に広がった面もあるのではないかと思われます。さて、今回の行方を見ていて、私が感じたこと。それは3年前にEUの招聘で欧州議会やEUの幹部との意見交換で出張したときに感じたことにも重なるのですが、まさにこの一言に尽きます。それは「イギリスですらこうなのか」というものです。
当時もあるいはそれ以降も、ヨーロッパの人と話をするときに感じる違和感、それは安全保障環境に対する認識の違いです。違和感といってもどちらが正しいということではなく、むしろ、置かれている環境の違いの再認識といった方が正しいかもしれません。再三指摘させていただいている対中国の武器禁輸の議論をする際にも痛切に感じることですが、欧州諸国の基本認識は、もはや現代において国と国との間の戦争や紛争は起こらない、というものです。現実に北朝鮮や中国の脅威にさらされている我が国とは基本的に認識が異なります。
ウクライナでの紛争が起こって、欧州でも若干考え方が変わっている可能性もあるかと思っていましたが、やはりそこまでの大きな変化は無かったようです。イギリスはそのような欧州諸国と比べれば、アメリカとの伝統的な関係もあって、まだ安全保障に関する意識は高く、対中武器禁輸などにおいても日本の立場を理解し行動してくれている面が多いのですが、それでも例えばフランスと航空母艦の共同運用を検討するなど、東アジアでは想像できないような動きを一部で行っているのも事実です。
今回、スコットランドの独立の議論においては、経済や福祉といった問題は俎上に上がっていましたが、国防や安全保障、外交といった側面が真剣に議論されての独立の議論だったとは、少なくともイギリスのメディアもチェックしていましたが感じられませんでした。今回のスコットランドの独立の一連の動きで、東アジアの現在の中国や北朝鮮の軍事的な動き等に鑑みた現実を考えたとき、あのイギリス(の一部のスコットランド)ですら安全保障のプライオリティー、一般の認識がここまで低下しているということは、極めて重要な事実です。同時に、日本としては、自国の安全や東アジアの安定を考えれば、当面アメリカとの関係を最優先で考えていかざるを得ない、その現実を改めて認識する機会でもあるのではないでしょうか。
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