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2014-09-20 00:00
気候変動のリスクから廃止される長期の火災保険
鈴木 馨祐
衆議院議員
先日、10年を超える火災保険を各損害保険会社が廃止するとのニュースがありました。大規模な自然災害の増加により将来のリスクの予測が困難になったから、というのがその背景のようです。豪雨にしても、かなり大規模な保険金の支払いに繋がる台風などの自然災害にしても、この数十年間、その件数などのデータが明確に右肩上がりとなっています。以前から指摘させていただいているように、温室効果ガスによる気候変動は、単なる温暖化にとどまらず、気候のボラティリティーが増す、つまり気候の変化が激化するということに繋がる可能性が極めて高いと考えられます。
気候が激しくなり、更にはその地域の気候そのものが変化するとするならば、一番深刻な影響を受けるのは食糧と水に他なりません。現在の耕作適地が気候の面から耕作不適地になる、それと同時に気候の面から耕作適地となるはずの土地は、これまでの植生の分布から即座に耕作適地となることは土壌面から難しい、そして、集中豪雨や干ばつにより肥沃な土壌そのものが失われてしまう。気候変動の対策を何ら打つことが出来なければ、この様なことが地球上のあちらこちらで今後起こる可能性が極めて高いわけです。毎年同じような気候であって、かつ土壌も保たれる前提で行われるのが従来の農業であることを考えれば、食糧供給に重大な問題を引き起こしかねないのが今の状況です。
また、地球全体の気温上昇にともなう水蒸気量の増加は低気圧の巨大化を招くなど、自然災害も加速度的に増えていく可能性が高いともいわれています。今回の火災保険のニュースは、まさにそうしたリスクの数値かのプロである損害保険会社をもってしても10年以上先のリスクの予測が困難という、まさに極めて深刻な状況が明確となったことを意味するのではないでしょうか。我々としても深刻に受け止める必要があります。
気候変動対策、地球環境問題。以前から指摘しているように、「もしかしたら温室効果ガスと地球の気候の変化は相関関係がない、温暖化・気候変動などは無い」とする科学的な根拠に乏しいほんのわずかな可能性に賭けて、対策をまともにやらないというのは、我々人類社会にとってあまりにも危険な賭けでは無いでしょうか。先日のエネルギー基本計画を巡る議論にしても、ポスト京都の枠組みを巡る議論に対する我が国のスタンスにしても、いわば環境関係の議員の一人としてここ数年の議論に関わってきましたが、諸外国と比べても、正直、危機意識に若干欠けている面は否定できません。党内においても、世論に対しても、まだ微力ではありますが、出来る限りの働きかけを行ってまいりたいと思います。
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