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2014-09-16 00:00
アベノミクス、三本目の矢の成果
鈴木 馨祐
衆議院議員
「アベノミクス」、「三本の矢」。よく三本目の矢のスピードが遅い、効果が出ていないといった指摘をされることがあります。実際のところは果たしてどうなのでしょうか?そもそも、政府の経済政策で景気が良くなるという考え方自体が、若干の誤解を含んでいるのではないか、と私には思えてなりません。3本の矢といわれる3つの政策の組み合わせ、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、構造改革・成長戦略。実はこのうち1つ目と2つ目、そして3つ目の間には大きな違いが存在しています。
一本目の矢と二本目の矢は、直接的な効果をもたらすダイレクトな政策です。日銀がその金融政策でマネタリーベースに直接の効果をもたらし、政府が予算によって公共投資により経済そのものに直接的な資金投入を行う。これが一本目の矢と二本目の矢の実態です。一方で、三本目の矢は直接的な効果をもたらすものなのかといえば、答えは否です。政府や政治が出来ることは、規制改革をし、税制の改革を行い、TPPを通じて市場・マーケットの拡大を図る、等々の環境整備にすぎません。本当にこうした政策が効果を上げる為には、このような環境を活かしきることが出来るような、民間企業のリスクを取った積極的なビジネス活動が絶対的に必要です。正直いくら政治や政府が必要な改革を行っても、民間セクターがそれに呼応しなければ何も生まれることはありません。
3本目の矢は、決して我が国に成長を自動的にもたらしてくれる万能の魔法ではありません。いかにして企業や個人の方々に、その能力を存分に発揮していただくことが出来るか、いかにして改革の結果ビジネスをしやすくなった環境を存分に活かして個々の企業が成長戦略を実行していってもらえるか、その一点にこそ今後の日本の経済成長はかかっているといっても過言ではありません。我々も、それを後押しする為に、今後コーポレートガバナンス改革を行い、独立取締役により取締役会から、そして中期的には株の持ち合い解消や新たなインデックスの導入を通じてマーケットから、それぞれ企業の経営陣に適切なリスクテイクを促すようなプレッシャーをかけられる仕組みを前に進めていくことを本年度の「骨太の方針」で明確にしたところです。
経済政策、アベノミクスを語る大前提として、政治や政府、中央銀行が実態の経済の中で実際の生産力として担うことが出来るものは極めて限定的だということを忘れてはなりません。あくまで経済を成長させ、力強く日本を前に動かしていくのは「民間の活力」でしかないという点、この点は強調して強調しすぎることはないと思います。それを誤ると、前時代的な公共事業、補助金、規制中心の、民間セクターの生産性には全く寄与しない景気対策が再び行われ、結局効果も上げられない上に財政に負の遺産だけを残していくということになりかねません。それは今の日本のおかれた状況の中で許されない過ちです。党の中でこの大きな方向性から議論が外れることが無いよう、微力ですが全力で頑張って行きたいと思います。
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