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2014-09-04 00:00
安倍「一強」が完璧の再選布陣
杉浦 正章
政治評論家
石破茂を閣内に取り込み、谷垣禎一を幹事長に据えて、反安倍不満分子の核になるのを回避。外相・岸田文男を留任させ自らの首相外交に“奉仕”させる。外した石原伸晃や林芳正などには目もくれない。まさに来年9月の総裁選挙での再選に向けて「一強」安倍晋三が徹底した“布陣”を構築したのである。安倍長期政権への体制は整ったかに見えるが、好事魔多しが政治の常。今後1年間にひしめく政策課題は消費再増税の可否、原発再稼働、拉致問題、普天間移設、対中外交とどれ1つ取っても、崖っぷちから谷底を見るような危うさに満ちている。1歩踏み外せば、自民党内の権力闘争はいつでも再燃する。激務に首相・安倍晋三の体が耐え抜けるかも気になる。
安倍がこれほど口上手とは思わなかった。闘牛のような顔をした石破を、「自民党の顔」とか「地方の実態に通じている」と褒めあげて破顔一笑させ、谷垣を厳しい野党時代を乗り切ったと持ち上げた。岸田には「共に地球儀俯瞰外交をやった」と謝意を表した。全ては自民党総裁選に向けて対立候補の“封じ込め”を意識したものであり、それには成功したかに見える。石破や谷垣、岸田を野に放ったら、総裁選に出馬してくれというようなものだからだ。石破も地方創生相などという訳の分からない“重要閣僚”をあてがわれて、内心は不満に違いないが、安倍に記者会見の冒頭でその重要性を強調されれば、当面そうかと思う。しかし具体的には何をやればよいか分からない。今さら地方を回っても仕方がない。問題は疲弊した地方経済をどう立て直すかだが、各省それぞれが重要課題として抱えており、石破に出番があるのか疑問だ。要するに政治的妥協の産物を背負わされたのだ。
谷垣については、筆者が安倍と“握った”と書いたとおりだ。安倍が谷垣とは一体と協調すれば、谷垣も「安倍晋三首相と私は基本的に共通だ」と強調。「共通だ」ということは、安倍の本心が増税の期限付き延期にあるものとみられるから、それと共通であるということだ。朝日は増税実施を前提に谷垣の立場を「消費税率引き上げに反対する勢力もおり、仮に引き上げの判断をした場合には、反対派を説得する役回り」などと書いているが浅薄な見方で逆だ。谷垣が「社会保障と税の一体改革の鬼」であるからこそ、「その谷垣さんが延期を言うなら」と延期反対派が納得することになり、説得力があるのだ。安倍の狙いは紛れもなくそこにある。だいいち選挙前に再増税を推進すべきと思う議員がいるのか疑問だ。
一方岸田留任について安倍は、“負の功績”を買ったのだ。かねてから岸田は外交的なひらめきが感じられない外相であり、ただ地味なだけが取りえと思っていたが、読売の最近の記事でこれがはっきり裏付けられた。読売は安倍の言葉として「外相だから目立とうと思えばできるのに、自分より前に出ることはない」と“評価”していることを紹介している。要するに安倍は首相になってから49か国を回るという首脳外交重視であり、この記録は今後更新され続ける。首脳外交には外相がしゃしゃり出ては困るのであり、外務省も次官らによる首相への直接進講を欠かさない。その意味で岸田は自分が前に出ず、いわば“内助の功”に徹しているのである。安倍はその“功績”を買っているのである。例えば石破を外相にしたら、自分が霞みかねない危惧があるわけだ。こうして総裁選の候補らは、一致して押さえ込まれたのである。哀れを留めるのは「金目でしょう」発言の石原だ。すねたのか3日は登庁もしていない。林についても誰も総裁候補とみなすことはなくなっている。
まさに安倍の一強体制が成立しているのが現実だ。今後は解散問題が悪い病気のように出たり引っ込んだりし続ける。「拉致被害者の帰国があればこの秋解散」などと報じる新聞が複数あるが、私が官邸キャップだったら言ってくる記者に「そんなことあるか馬鹿」と取り上げない。拉致の政治利用などは国民に見透かされて負ける。せっかく自民党が持っている293議席のパイを減らす首相がいるかということだ。朝日がまた書いているのは、「来年夏の解散で安倍が求心力を高めて無競争で総裁再選説」だ。これもキャップなら記者に「アホか馬鹿」といって記事にさせない。現在の流れは安倍再選が確実視されるのであって、総裁選前に解散して負けたら再選はなくなるのだ。今後政治が行き詰まる度に解散説が出るのは事実だが、再選前の解散は安倍にとって禁じ手だ。
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