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2014-08-05 00:00
(連載1)「ODA卒業国」への野放図な資金援助はすべきでない
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
安倍総理は、7月下旬のラテンアメリカ歴訪の途次、7月28日に初開催された日本・カリブ共同体(CARICOM)首脳会合で、国民1人当たりの所得水準が基準を上回りODAの対象外となった島嶼国への防災・地球温暖化対策支援を、新たな支援制度によって継続することを検討すると表明した。現在の日本のODA供与基準は、OECDの開発援助委員会が定めた1人当たりの国民総所得が1万2275ドル以下、という国際基準を採用している。
この基準では、例えば、今回のCARICOM加盟国でいえば、バハマ、トリニダード・トバゴ、バルバドスが対象外となり、サンクトクリスファー・ネビス、アンディグア・バーブーダが間もなく対象から外れる見込みである。これらの国々を含む、津波などの災害や温暖化による海面上昇に対して脆弱な島嶼国を、ODAの対象外になった後も支援するというのが、今回示された方針である。この方針は、多くの意義を持っており、評価できる。まず、災害に弱く温暖化による海面上昇の影響を真っ先に受けることになる島嶼国を援助することは道義的に適っており、支援継続は、我が国の道義国家としてのブランド確立に役立つ。
第二に、温室効果ガス削減交渉にも役立ち得る。島嶼国は、当然、温暖化には敏感であり、低い温室効果ガス削減目標を設定した国への視線は厳しくなる。しかし、我が国には、野心的(あるいは大風呂敷を広げるような)目標を提示できる余裕がない。支援継続は、島嶼国の反発を少しでも和らげるのに貢献し得る。我が国は、昨年11月に「攻めの地球温暖化外交戦略」(ACE)を掲げ、多くの途上国からの歓迎と期待を受けている。今回の首脳会合でも、CARICOMの議長国である、アンティグア・バーブーダのブラウン首相は、災害・気候変動の被害軽減のための基金設立を表明し、日本の援助を求めた。こうした声に、常識的な範囲内で応える必要がある。
第三に、島嶼国は、小国ではあるが、数が多く、1国1票が原則の国連の意思決定において、支援継続が、日本の立場への支持獲得に繋がることは、既に、指摘されている通りである。(つづく)
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