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2014-06-27 00:00
ISISへの対応で試されるオバマの外交政策
川上 高司
拓殖大学教授
イラクでのISISの進撃が止まらない。モスルからバグダッドを目指して進んでいるが、行く手を阻む者はいない。マリキ首相はアメリカに空爆を要請したがオバマ政権ははねつけたとメディアでは報道されている。ISISが支配しているのはクルド人の居住地域であるし、大事な油田もある。パキスタンやアフガニスタンのように空爆するわけにはいかない。
その弱腰な態度にかみついているのが、共和党タカ派のジョン・マケイン上院議員である。イラクの危機を救うために今こそ軍事介入すべきだとオバマ政権に迫っている。挙げ句の果てに「今の安全保障チームは無能だ。総入れ替えすべき」と好戦的である。イラクへの介入をめぐって議会は今2つに割れている。先に述べた強硬派のマケイン議員ら介入派と、介入に反対する上院軍事委員会委員長のカール・レビン氏をはじめとする非介入派が意見を戦わせている。非介入派は、アメリカはイラクのためにすでに十分血を流したし闘う予算もないと介入に反対している。
さらに、NATOに協力を求めようという意見も飛び出している。NATOも緊急会議を開いて情勢分析はしているが、ラスムセン総長は「NATOはイラクには無関係」とつれない。イラクの情勢は確かに予断を許さない。ISISの勢力が拡大すれば、シリアからイラク、イランに至るまで不安定な回廊が生じてしまう。イランは精鋭部隊である革命軍をイラクとの国境付近へと移動させて来たるべき時に備えつつある。ISISとイラン革命軍の衝突は最も避けたいシナリオに違いない。
今の危機的状況は、マリキ首相の2003年以来続くスンニ派への締め付けに遠因があるとしても、イラクだけでは対応できない状況であることも確かである。オバマ大統領はあらゆる手段を検討し、最良の支援を行うとコメントしているが、果たしてオバマ大統領は内向きな姿勢を転換させ、積極的に関与するだろうか。アメリカの新孤立主義が試されている。
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