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2014-06-20 00:00
(連載3)集団的自衛権行使容認反対論の敗北
加藤 朗
桜美林大学教授
たしかに安倍政権は、積極的平和主義を掲げてはいる。国家安全保障戦略を策定し、国家安全保障会議を設置し、秘密保護法を制定し、武器輸出三原則を緩和し、そして今集団的自衛権行使を容認しようとしている。しかし、国家安全保障戦略は祖父岸信介元首相が策定した「国防の基本方針」とそれほど内容に差はない。国家安全保障会議の設置、秘密保護法の制定はいずれも民主党政権も構想した内容であり、武器輸出三原則の緩和はすでに野田政権時代に事実上行われている。
つまり、集団的自衛権行使容認を除けば、これが安倍政権の安全保障政策だという特色あるものはない。その集団的自衛権行使容認も、当初は憲法改定によって実現させようと目論んでいたものだ。それが実現不可能とわかって解釈改憲に舵を切った。
安倍首相も政治家として祖父岸信介元首相の遺志を継いで改憲を目指していたのだから、改憲こそ王道であろう。にもかかわらず、あまりに短兵急に解釈改憲で集団的自衛権行使を容認しようとするのは何か隠された意図があるのか。それとも、河野洋平氏の批判に「信念を少し丸めて、その場を取り繕っても、後々大きな禍根を残すこともある。それは政治家として不誠実ではないか」と強く反論したが、何か確固たる「信念」があるのか。その「信念」がわからない。
安倍首相の積極的平和主義の理念とは一体何なのか、「信念」とは何か、それが明確に分からないだけに反論のしようもない。せいぜい個別の問題で個々に反論を加えるだけである。その結果、反対派は各個撃破され、気がつけば安倍首相の圧勝という状況になってしまった。結局、反対派の有効な反論は、積極的平和主義への具体的な対案を出すことである。にもかかわらず、反対論者からは具体的な反論は出ていない。単に安倍嫌いの個人的感情や、旧態依然たるなんでも反対の反論でしかない。安倍政権の積極的平和主義への対案はないのか。私は、それは平和大国日本というブランドの確立であり、人間の安全保障戦略と信ずる。(おわり)
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