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2014-06-19 00:00
(連載2)集団的自衛権行使容認反対論の敗北
加藤 朗
桜美林大学教授
3.集団的自衛権行使そのものに反対。本来の反対論は集団的自衛権の行使そのものに反対すべきであろう。しかし、真っ向から集団的自衛権の行使に反対する議論はあまりない。安倍政権は「集団的自衛権の行使を容認することで抑止力が高まり、またこれまで以上に国際協力が可能になる」との積極的平和主義を強調する。集団的自衛権の行使が容認されれば、日米同盟が強化され、中国への抑止力になると目論んでいる。しかし、その一方で中国との間で軍拡競争が始まり、安全保障のジレンマから、かえって安全が損なわれるかもしれない。
実際、中国への抑止力になるという主張に反論を加えるのは難しい。抑止力の有効性については、これを実証することも、反証することも不可能だが、一般的には誰もが「有効だ」と信じがちだからである。また「集団的自衛権を認めれば、アメリカの戦争に巻き込まれる」という反論も説得力を欠く。「集団的自衛権を行使するか否かはあくまでも政策判断の問題であり、直ちにアメリカの言いなりになるわけではない」という内閣の主張に反論することは難しい。
NATOの例を振り返ると、NATO諸国がアメリカとの集団的自衛権を発動したのは、アフガニスタンの対テロ戦争だけである。逆に発動しない例の方が多い。スエズ戦争ではアメリカはイギリス、フランスと敵対し、ベトナム戦争ではイギリスはアメリカに積極的な協力はせず、逆にイギリスがフォークランドを攻撃した時にはアメリカはイギリスに情報提供をした程度である。また「集団的自衛権の行使を認めれば、日本は戦争をする国になる」との朝日新聞や九条の会のような主張は、過去何度となく繰り返された情緒的、扇動的な常套句で、反論にはなっていない。
4.安倍政権の安全保障政策そのものに反対。集団的自衛権の行使容認は安倍首相が変えようとしている安全保障政策の一つでしかない。だから「安全保障政策そのものに反対する」との視点から反論を展開するのが一番有効だろう。しかし、柳澤協二氏が『亡国の安保政策』で指摘しているように安倍首相の目指す安全保障政策とは一体何なのかがわからない。そのために、暖簾に腕押しで、反論が難しい。(つづく)
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