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2014-06-16 00:00
中国戦闘機異常接近事案に見る深刻な状況変化
鈴木 馨祐
衆議院議員
先日発生した東シナ海での中国戦闘機による自衛隊機への異常接近事案について、少し書かせていただきたいと思います。まず、事案としては無防備の偵察機に対してミサイルで武装した戦闘機が30メートル、50メートルという異常な距離まで接近したこと、まさに常軌を逸しているといわざるを得ません。2001年海南島でアメリカの偵察機に中国戦闘機が体当たりして緊急着陸を余儀なくされ、米中関係が一気に緊張化したことを想起させる事案で、我々も極めて深刻にとらえていかねばなりません。
この海域での様々な問題が起こっている背景には、法的には日本と中国の排他的経済水域が重複している点、防空識別圏についても重複があり、かつ中国においては実力行使を前提とするという国際法的に極めて疑義のある運用を宣言している点、この二点が特徴的です。その中、まず我が国としては国際法的に、境界解決がしていない状況下においては日本から200海里の権原を維持していることを明確にした上で、事実上の運用としては中国も実質的な状況認識を共有しているという前提のもとに国際的な通例でもある両国の領海基線からの中間線を運用上の目安としてきたのがこれまでの経緯です。
この点において今回深刻なのは、最近の中国の動きから判断する限り、中国側が事実上受け入れているという前提で、これまで日本が運用面での目安としていた中間線についての中国のスタンスが変化している可能性が極めて高いという点です。これまでガス田開発にしても、あるいは日中間の共同開発の合意においても中国が事実上中間線を意識して行動しているという側面があったために、日本としても中間線から中国側については中国の行動を容認してきたところです。それが今回の異常接近事案、あるいはADIZの運用、いずれも、中国側が中間線を事実上受け入れてきた運用を変えようとしている可能性が高いことを裏付けるものとみられます。となれば日本としてはこれまでの中間線での自制をしている必要はありません。国際法上の解釈に従って日本から200海里までの権原の主張をし、資源探査についても中間線よりも中国側についてもその対象とし、その安全を守るためにとるべき措置をとることが必須になってきます。
この点においてこれからしばらくの中国人民解放軍の行動を注視する必要がありますが、まずは当該海域の実効的な制空権制海権を維持する活動を日米できちんと継続すること、そして国際社会に対して日本の主張の正当性を明らかにするために、中間線よりも日本側でのガス田の試掘を開始することが第一のステップになろうかと思われます。リスクも伴う判断ですが後世あれが転換点だったと指摘されるタイミングである可能性もあります。政治があらゆる能力を結集して適正な措置を進める決断を下す必要があります。
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