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2014-06-13 00:00
米国はイラクとシリアへの中途半端な支援をやめるべき
川上 高司
拓殖大学教授
ウクライナとロシアの問題にヨーロッパとアメリカが関心を寄せている間に、イラクではもはやテロが日常と化している。アンバル地方はISISの勢力が拡大しているが、比較的安定していたクルド人が多い北部にもテロは波及しつつある。8日にはモスルの行政府が襲撃されて州知事があわや拘束されかかったという事態が発生し、騒然となった。
同時にバグダッドでも自爆テロが発生、多くの死傷者を出している。2014年はまだ半分も過ぎていないというのに、イラクでのテロの犠牲者はすでに5000人を超え、もはや誰にもテロを止めることができないような状況に陥っている。オバマ大統領にとってイラクは「終わった戦争」という位置づけなのだろうが、住んでいる者たちにとっては2003年以来続いている戦争である。
イラクの不穏さはイラクだけでは解決しない。シリアの内戦が長引けばイラクにも余波が及ぶとシリアが政情不安になったときから懸念していたが、まさにシリア内戦の影響を強く受けているのが今のイラクだろう。だが、シリアの内戦もまた一向に終わりが見えない。先週行われた大統領選挙では、アサド大統領が選出されて政権にとどまることになった。欧米はその選挙結果に不満を表明しているが、現実問題として今のアサド大統領に代わる指導者がいるのかどうか。さらに選挙で選ばれた指導者を認めないということができないため欧米の反応は中途半端だった。
アメリカは反政府側を支援しているが、その支援をめぐって受ける側の自由シリア軍と不況和音が鳴り響いている。自由シリア軍の司令官は、アメリカ側からの武器はもはやだれの手に渡っているのかまるでわからなくなっており、結局アメリカのまずい支援が軍閥を育ててしまっていると訴えている。アメリカには派閥やイスラム過激派グループの情報がほとんどないというのが実情のようで、アメリカの武器がイスラム過激派の手に渡っている可能性は否定できない。「世界の警察官から降りる」、アメリカはそう宣言した。内向きになって世界の紛争から距離を置くのはいいが、そうならば中途半端な支援もやめるべきであろう。そのことをイラクとシリアの内戦に学ぶべきである。
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