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2014-06-03 00:00
米中の借金主導の成長モデルは世界不安の源
田村 秀男
ジャーナリスト
現代世界の経済成長というものは、借金が原動力になっている。典型は米国と中国だ。米国は2000年代前半だけで約400兆円以上も家計が金融機関から借り入れ、消費にふけった。自国の経済を押し上げると同時に中国など新興国、日本などに対米輸出ブームをもたらした。借金主導型成長モデルは、住宅価格の値上がり予想の上に成り立ち、住宅相場が下落基調に転じると一挙に崩壊してしまった。「リーマン・ショック」以降、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在までに300兆円以上のドルを発行してウォールストリートに流し込んで住宅抵当証券相場と株価の維持、押し上げに努めてきたが、メーンストリート(実体経済)の回復の足取りは弱々しい。
その原因ははっきりしている。借金主導に代わる成長モデルが見当たらないからである。最近になってようやく住宅相場も下げ止まってきたが、住宅抵当ローン残高は前年比でマイナスが続いている。今後しばらくの間、米景気のめざましい回復はありそうにない。共産党指令による市場経済の中国の経済モデルは、米国とは全く異質に見えるが、借金主導という点では米国と共通する。地方等官僚は土地の使用権を自身が関与するデベロッパーに売って工場や高層住宅用に開発する。デベロッパーは年利回り10%前後の理財商品を発行して預金者から開発資金を集めてきた。銀行借り入れと合わせ最近5年間で数百兆円分の投資を行ってきた。
不動産開発投資こそがリーマン後の中国高度成長の牽引車なのだが、行き詰まるプロセスは米国と変わらない。不動産相場が下がり始めると、高利回りの理財商品の元利払いは不可能になる。すでに昨年秋から不動産相場は全国的に下落局面に入った。米国と違うのは、通貨の発行と配分を支配する党が人民元を問題案件に流し込んで相場崩落や理財商品のデフォルトを隠せる点だが、高度成長に回帰できない限り雲散霧消させることは不可能だ。だからこそ李克強首相は借金・開発に支えられた成長モデルに代わるモデル探しに頭を悩ませている。
日本の場合、家計は慢性デフレが始まった1998年以来、年平均で11兆円強も現預金を増やしてきた。この余剰資金が金融機関経由で民間貸し出しに充当されると、カネは実体経済内で回るはずだが、政府は消費税を3%、さらに5%の幅で引き上げてそれぞれ年間8兆円、13兆円余りを家計から徴収する算段だ。家計、企業そして政府とも借金を嫌うのは「美徳」だし、この反借金モデルは米中の不安定なモデルの対極にある。ところが、その報酬が慢性デフレとゼロまたはマイナス成長というのでは何とももどかしい。ならば、現役世代の住宅ローンをもっと後押ししてはどうか。米国のような住宅バブル、中国のような不動産投機とは無縁な日本で、唯一手堅く借金を増やせるのは住宅部門しかない。
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