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2014-06-02 00:00
「海江田降ろし」が広がりを見せている
杉浦 正章
政治評論家
民主党代表・海江田万里が窮地に陥りつつある。党内は左右両派が集団的自衛権の行使容認と野党再編をめぐって既に激突の様相を呈しており、「海江田降ろし」に直結する代表選の繰り上げ実施論も重みを持って語られるに到った。海江田はその言動から察すると、6月22日の通常国会会期切れに逃げ込みたい考えのようである。国会終盤にかけての攻防はかつて消費税をめぐって小沢一郎が党を分裂させたのと同様に、今度は安全保障での亀裂が由々しき事態を招きかねない様相だ。政策の一致のない寄り合い所帯の政党の“さが”が表面化し、まさに弱り目にたたり目の事態である。口火を切ったのは前外相・玄葉光一郎だ。海江田が昨年夏の参院選直後に党の体制建て直しについて「結果が目に見える形で出てこなければ、皆様に民主党を代表する立場を恥を忍んでお願いすることはない」と発言したことをとらえた。玄葉は25日、「民主党が政権に再挑戦するにふさわしい体制をそろそろ築かなければいけない。そのためには代表選が行われることが望ましい」と言明したのだ。
代表選前倒し論である。党内には新体制発足後、海江田がリーダーシップを発揮できないまま支持率が5%前後という低迷をたどり、このまま再来年の衆参ダブル選挙に突入することへの“恐怖感”にも似たムードがある。この玄葉発言を機に中堅若手議員らの会合でも代表選前倒し論が公然と述べられる状況に到った。こうした中で玄葉と歩調を合わせるかのように右寄りグループを率いる前原誠司が29日「代表は成果がなければ辞めると公言した。総括はきちんと行ってもらいたい」と表明した。去る24日に京都で開かれた維新共同代表・橋下徹、結いの党代表・江田憲司との会談で前原は「野党再編を進める以上、自主憲法制定の文言があっては人が集まらない」と述べ、橋下を説得。これが導火線となって維新分裂への流れとなったが、前原の海江田降ろし発言はこうした動きを背景にしたものだ。それでは右派は代表戦に誰の擁立を目指しているのだろうか。内部では元代表・岡田克也擁立の機運が出ていると言われる。
岡田は28日の衆院予算委員会で代表質問に立って冒頭奇妙な発言をしていた。集団的自衛権について「私のスタンスは集団的自衛権を広く認めるためには憲法を改正すべきだと思う。しかし限定的に認めるのかどうかまではまだ決めていない」と述べたのだ。これは党内左右両派を意識した発言、つまり代表選までにらんだものと受け取れる。間違いなく集団的自衛権の行使問題は民主党が分裂しかねない導火線である。党内は集団的自衛権の行使容認論の副幹事長・長島昭久が中心となって研究会を立ち上げ、解釈改憲で基本法の制定を訴えている。これに対して党最高顧問・江田五月らが社民党などと護憲のフォーラムを立ち上げ、対立は激化の様相だ。これらの動きは冒頭指摘したように小沢が消費税推進の首相・野田佳彦に反対して離党し、新党を結成した動きと相似形をなしている。そもそも民主党は社会党左派から自民党と主張の変わらないグループを抱えた寄り合い所帯であり。政策の一致を前提とした政党ではない。内政上の最重要課題の消費税で分裂を招いた流れが、安保上の最重要課題の集団的自衛権の行使容認でぶつかり合うことは十分あり得ることである。
海江田は左派の多い執行部に支えられており、集団的自衛権の行使容認についても先月30日、BS日テレの「深層NEWS」で「立憲主義を無視して解釈を変えることは安倍首相の特異な考え方だ。安倍さんはこれまでと180度違うことをいいと言っているが、これには私たちは駄目ということだ」と事実上反対姿勢を鮮明にしている。しかしその方向で党内をとりまとめられるかと言えば、極めて難しいと言わざるを得まい。従って玉虫色のどうともとれる解釈でお茶を濁しているのだ。同テレビで今後の段取りについて海江田は「国民に考え方を示すのは、国会が終わる頃がめど」と先延ばしの姿勢を鮮明にしたが、司会者から「遅いのでは」と指摘された。まさに先延ばしなのである。こうして民主党左右両派は代表選前倒し論と集団的自衛権の行使容認問題が密接な形で連動して、抜き差しならぬ局面に立ち至りそうな気配だ。海江田は辞任について「辞める辞めないかは私自身が決めること」と突っぱねているが、海江田降ろし派は「1年で辞任発言」を金科玉条として海江田を追い詰める流れにある。海江田は参議院民主党のドンで副議長の輿石東らに助けを求め始めたと言われている。
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