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2006-10-11 00:00
安倍総理の訪中を評価する
村上正泰
日本国際フォーラム主任研究員
この度の安倍総理の訪中は、1年半にもわたり日中首脳会談が開かれないという異常事態に終止符を打つことになった。折しも北朝鮮が核実験の実施を宣言し、実際、9日には訪中を終えた安倍総理が韓国に向かうというタイミングで核実験が実施されるという状況にあって、歴史認識や靖国問題はさておき、「戦略的互恵関係」の構築で一致したことは評価すべきである。というのも、北朝鮮の核問題においては、中国がどのような役割を果たすかという点が最大の問題となるからである。
今回の北朝鮮の核実験を受けて、核保有国同士の緊張関係に至るかもしれないという意味で44年前のキューバ危機とのアナロジーで論じる向きもあるけれども、その間の国際環境の大きな変化を見落としてはならない。確かにキューバ危機で核保有国同士がどのような駆け引きを演じたかは参考になろうが、当時は米ソ冷戦の最中であり、両大国間の対立がエスカレートしたものであった。しかしながら、今や、国際社会とそれに挑戦する北朝鮮という図式であり、国際秩序を攪乱する者にどのように対応していくかという問題である。その意味で、今後の中国の対応は、中国が国際社会における信頼できるパートナーたり得るかどうかを示すものとなろう。
現時点では、中国は、国連安保理における対北朝鮮制裁決議を容認する構えをみせている。しかしながら、問題は制裁決議の中身であるし、基本的に中国は慎重姿勢を崩していない。今後の北朝鮮への対応は、さまざまな駆け引きの中で段階的に進められることになるであろう。制裁決議が採択されても、中国が実質的な宥和路線をとり続ければ、制裁の意味も大きく薄れてくるし、場合によっては、北朝鮮の核保有国という立場を既成事実化し、北朝鮮を利することにもなりかねない。
このように北朝鮮問題をめぐって中国の出方が重要な時期において、日中両国首脳が対話を再開し、共同プレス発表の中で北朝鮮問題についての共通認識を確認できたことは大きな前進である。日中二国間の問題だけではなく、東アジアの地域秩序を視野に入れた議論に進んできている。とはいえ、重要なのは今後の対応であり、再構築した首脳間のパイプをどのように生かしていけるのか、これからが大きな試練であることは言うまでもない。
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