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2014-05-06 00:00
(連載1)カルザイ政権後のアフガニスタンとアメリカ
河村 洋
外交評論家
アフガニスタンの大統領選挙はアブドラ・アブドラ元外相とアシュラフ・ガニ元財務相の間で激戦となっているが、アフガニスタン独立選挙委員会(IEC)は4月26日に「両候補とも第一次投票では過半数を獲得できなかった」と述べた。選挙は決選投票に持ち込まれる。ハミド・カルザイ大統領は憲法で三選が禁止されているので、今回の選挙はアフガニスタン史上初の平和的な権力移譲となる。また治安の権限も今年末までにNATO主導のISAF(国際治安支援部隊)からアフガニスタン政府に移譲される。アメリカにとっても、世界にとっても、今回の選挙の帰趨は重要な意味を持つと言えるが、3月24日、アメリカン・エンタープライズ研究所でフレデリック・ケーガン重大危機プロジェクト部長の司会により「カルザイ政権後のアメリカの対アフガニスタン政策」に関する公開討論会が開催されたので、その概要を紹介したい。このイベントには、共和党側からアダム・キンジンガー下院議員とRAND研究所のセス・ジョーンズ国際安全保障および国防部長が、民主党側からセンター・フォー・アメリカン・プログレスのキャロライン・ワダムス上級フェローが招かれ、議論は超党派的に行われた。
現在、アメリカはシリアからウクライナまで次々と出てくる新しい外交案件に目を奪われがちだが、ケーガン氏は、「アフガニスタンでの戦争を軽視することは全く間違っている。アメリカに対する脅威は海外からでなく、両党の孤立主義からやって来る」と指摘した。パネリスト達は党派やイデオロギーの違いにもかかわらず、アフガン戦略を党利党略に利用することには一致団結して反対し、国際主義者は手を携えて国民の問題意識を高めるべきだと主張した。
しかし、オバマ政権がイラク撤退にあたり、現地に充分な兵員を残さなかったことは周知の通りである。オバマ大統領は明らかに厭戦気運に浸った世論に迎合したのである。それによってイラクでアル・カイダが再び台頭し、ジャバト・アル・ヌシュラがシリアに入り込むという致命的な結果をもたらした。キンジンガー下院議員は「政治家はどれほど不人気でも必要な政策なら選挙民に語る勇気を持つべきだ。そしてアメリカは自由と正義を代表すべき存在だ」と主張した。保守の国際介入反対派は「祖国から離れた地」の人々のためにアメリカ人が犠牲になることには消極的である。他方でリベラルの反対派は海外でのアメリカの軍事的プレゼンスに謝罪姿勢である。アフガニスタンの治安はワシントンの国際主義者が超党派で連携できるかどうかにかかっていると言える。
アメリカ国民はなぜアフガニスタンへの継続的な関与に乗り気でないのか?ワダムス氏は「アメリカ国民はブッシュ政権期から長きにわたって続く戦争に嫌気がさし、さらに国際的な関与政策の正しさを信じきれなくなっている」と述べ、さらに「アフガニスタンで人権侵害や腐敗の問題が深刻になればアメリカ国民は失望するであろう」とも述べた。他方、ケーガン氏は「アメリカ国民のほとんどは海外の戦争とは無縁かつ無関心の生活を送っている」という興味深い事実に言及した。そして「クリントン政権期から、ブッシュ、オバマ政権期にいたるまで、戦争がアメリカの債務を増加させている事実はない。アメリカ国民は戦争の犠牲などほとんど受けていないばかりか、戦争の負担に不満を述べる資格があるのは人口の1%に過ぎない」と述べた。(つづく)
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