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2006-10-09 00:00
人的交流を通して「信頼関係」樹立を
岡本 由美子
同志社大学教授
最近、中国南京市の某大学経済学部で「国際経済」に関する講義をさせていただくという、大変貴重な機会に恵まれた。日本人ということを全く意識することなく、中国の学生とも先生方とも活発に対話・議論ができ、大変有意義な時間を過ごせたと感じている。また滞在中、中国に長らく駐在する日系企業の方と話をする機会も得られた。現在、市政府も「歴史問題」と切り離して、日系企業の誘致に大変熱心だそうである。「対話ができる」という実感を持てたのは、中国での経験が乏しい私にとっては大きな収穫であった。
現在、東アジア共同体構築の是非を巡って議論が戦わされている。確かに、共通の理念や価値観を有していない国々や地域と関係を急速に深めていくのは難しいであろう。しかし、今最も重要なことの一つは、お互い「信頼関係」を築けるよう、あらゆるレベルで努力していくことではないだろうか。社会科学の様々な分野で最近、ソーシャル・キャピタル構築の重要性が叫ばれている。そこでは、信頼関係やネットワークの樹立がよりよい社会を築くための必須条件にあげられている。東アジア地域でもまさに同様なことが言えるのではないだろうか。信頼なくして真の協力なしである。
東アジア共同体に関連して、大学で教鞭をとる私が現在最も危機意識を有するのは、対外関係ではなく、日本の国内そのものにある。統計的裏付けがなくては断言できないが、私が大学で観察する限り、一般的にいってあまり学生がこの問題に興味関心を抱いているようには思えない。それ以上に、自分が学生時代であった頃と比べ、欧米よりアジアに興味を抱く学生の比率が格段に増加しているようにも思えない。ヨーロッパでさえ、現在の協力関係を築き上げるのにどれほどの時間と労力がかかったかということを考えると、日本では尚更、若い世代への働きかけが必要ではないだろうか。長期の視点に立脚すると、東アジア共同体の構築には教育研究と国際交流を推進する大学の役割の大きさを改めて感じる今日この頃である。
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