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2014-04-19 00:00
(連載1)外界を見る眼の「日本化」という陥穽
植田 隆子
国際基督教大学教授
山本JICA欧州連合首席駐在員は、ウクライナ問題やオバマ大統領のブラッセル訪問(米EU首脳会談、3月26日)をめぐり、3月31日付の電子版時評で次のように述べている。「最近会ったブロックマン欧州政策センター外交部長は、『欧州の日本化』(Japanisation of Europe)という発言をしていた。日本人にはあまり面白くない言い方だが、国内の経済や金融のことのみに捕らわれているうちに、その周辺にある大きな脅威に気づかないという意味だそうだ。」これは、EU圏あるはNATO加盟国のロシアに対する政策が念頭に置かれての議論であり、確かに、EU圏は、このところ経済危機対策に追われていた。
ここで言う「日本化」は、根は深く、敗戦した日本が再建に邁進し、奇跡の経済成長を遂げる間に、外界を、経済(力)中心に見るという固定観念が定着したのではないか。この問題は、EUの政策の「解釈」にも典型的に表れている。経済・通貨統合以外のEUの活動が日本で十分に知られていないため、ウクライナ危機について、1.EUがロシアと地政学的な勢力圏争いをしている、2.対ロ貿易あるいはエネルギー輸入から、ロシアに対して強硬策がとれない、3.EU加盟国の中でロシアに対する利害が異なるため、EUとしてまとまれないとする不一致を強調、という日本化された解釈が一般であるように思われる。3点目については、4月17日の4者協議(ジュネーヴ)にEUとして参加しているように、EU加盟国は対応を一本化してきた。G7でもEUはメンバーである。
EUと現場で約3年間お付き合いをし、ロシアのグルジア侵攻後のEUの対応やEUの対ロ政策を注視していた経験(2008-11年、欧州連合日本政府代表部次席大使)などから、EUの「DNA」として、対話のパイプを開けておくという特徴を指摘できる。もともと、経済的に破綻し、腐敗の横行するウクライナをEU内に取り込みたいという強い意欲は、EU加盟国側にはなかった。(植田ほか編『新EU論』信山社、4月末刊を参照されたい)。ウクライナはEU圏に接しているので、不安定化を防ぎ、ロシアとの対話を続けるためにEUが講じている方策は、対ロ制裁よりも、ウクライナ支援の強化に傾斜している。
もう一つの方策は、ロシアが加盟している欧州安全保障協力機構(OSCE)を危機低減に活用することであり、OSCEは3月21日、ウクライナへの監視団の投入を決定し、すでに初期段階の100名を超える監視員が活動している。4月17日のジュネーブ合意の危機低減措置の履行にも監視団は主導的な役割を果たすことになった。(つづく)
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