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2014-04-18 00:00
シリア内戦の深みにはまるアメリカ
川上 高司
拓殖大学教授
3月28日、オバマ大統領はサウジアラビアを訪問しアブドラ国王と会談した。サウジアラビアとは昨年シリア攻撃を断念し、イランとの宥和路線を取り始めてからぎこちない関係であった。今回の会談でも、イラン問題やシリア問題が話題になることは間違いなかった。そのシリア問題でオバマ大統領はこれまでの慎重な姿勢から、より積極的な関与に転ずる可能性が出てきている。アブドラ国王との会談ではシリア反政府側への軍事支援の内容について話し合われた。
軍事支援についてはオバマ大統領は供与した武器が過激派の手に渡る可能性を危惧して慎重な姿勢を見せ、支援は人道的支援にとどまっていた。だが今回の会談では、より踏み込んだ支援へとステップアップするようである。アメリカの支援内容は、ワシントンポスト(3月28日)によれば反政府軍への軍事訓練を実施することが主となっている。この訓練はCIAが監督する。反政府側はアメリカの特殊部隊の支援を求めているが、そうなると軍事的な介入へとより近づくことにもなりかねない。
また反政府軍はかねてから対空ミサイルの支援を求めているが、過激派へ流れる危険が大きいのでアメリカは頑なに拒否してきた。サウジアラビアは、反政府軍の身元確認を厳格にして過激派を排除すると主張し、さらに供与されたミサイルの追跡もすると主張して、対空ミサイルの供与の許可を求めている。アメリカが対空ミサイルを許可したら内戦は一気に拡大する恐れがある。なによりもシリア政府を支援しているロシアとの関係にも亀裂が入る可能性が大きい。
反政府軍の言い分は「アサド政権が軍事的に優勢だから外交交渉ができない。軍事力で解決しないことをわからせるために戦闘を激化させる必要がある」から、軍事支援を拡大してほしいというものだ。もしオバマ大統領が反政府軍への軍事支援を拡大したらこの言い分を認めたことになる。外交交渉のための戦争という理屈をオバマ大統領は認めるのか。昨年9月に外交によってシリアへの軍事攻撃を回避してからわずか7か月、オバマ外交の真価が問われている。
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