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2014-04-11 00:00
集団的自衛権めぐり民主党の亀裂拡大
杉浦 正章
政治評論家
集団的自衛権の行使容認をめぐって民主党内の亀裂が拡大した。反対派の代表・海江田万里と推進派の元防衛副大臣・長島昭久が、ワシントンで真っ向から対立する発言をして、空中戦を展開した。今後連休明けに首相・安倍晋三の諮問機関・安保法制懇の報告が出れば、その是非をめぐって党内論議の激突は避けられない様相となってくる。海江田が、国の動向を左右する戦後まれに見るテーマで党内論議をまとめられないのなら、代表の資格がないことになるが、本人は4月10日、何が何でも代表のポジションに“しがみつく方針”を表明。党内は相変わらず度し難い様相を呈しつつある。空中戦は、まず海江田が8日の講演で安倍の集団的自衛権の行使容認姿勢を「憲法解釈の変更は、立憲主義という観点から積み重ねられてきた政府の解釈を無視するものだ。時の権力者によって解釈変更が恣意的に行われるのは認められない」と正面切って批判した。その翌日長島が記者団に行使容認について、「中国や北朝鮮の動きを考えれば、喫緊の課題だ。全面的にやるべきだというのが私の持論だが、限定的な行使容認が第一歩だ」と述べた。そのうえで長島は、「限定的な行使容認なら、民主党でも多くの議員が前向きに受け止められると思っており、私だけが突出しているとは感じていない」と、民主党内も限定容認に傾いていることを強調した。
海江田体制発足以来、くすぶり続けて来た集団的自衛権の行使をめぐる党内論議が火を噴いた形となった。その兆候は既に今年初めから生じている。2月に開かれた安全保障総合調査会などの合同総会では、絶対反対の調査会長の北沢俊美と憲法総合調査会長の枝野幸男が、解釈変更に反対する私案を提示。これに対し、元外相・前原誠司ら保守派から「個々の事例を検討して結論を出すべきだ」と異論が出され、議論が白熱。結局当たり障りのない収拾策で当面を糊塗している。反対派は幹事長・大畠章宏、枝野、北沢ら党内左派であり、海江田はその左派路線の上に立って党内運営をしてきた。これに対して前首相・野田佳彦、元外相・玄葉光一郎、長島、幹事長代行・渡辺周らが、容認論である。長島に至っては、限定せずに全面容認論であり、自民党より右だ。とりわけ野田は首相になる前から著書で集団的自衛権容認論を説いており、首相になってからも国家戦略会議のフロンティア分科会が提出した行使容認を提言する報告書に賛成する意向を表明した。
野田は「考え方を日本再生戦略の中に存分に反映させたい」と述べているのだ。総選挙大敗で謹慎中の身である野田は側近に「まだ表に出るのは早い。執行部に文句は付けない」と漏らしている。しかし、うずうずしているのは間違いない。野田は海江田がずっこけるのを見越して待っているのかも知れない。自民党が民主党に手を入れるとすれば、野田あたりを動かすのが最良だろう。海江田は昨年の参院選挙後には、「1年間で目に見える結果を出せなければ代表を辞任する」意向を表明したにもかかわらず、ワシントンから帰ると「任期は来年9月までだ。1㍉でも民主党が前に進むよう頑張る」と手のひらをかえした。発足当初から筆者が指摘したように海江田では党勢回復は無理だ。読売の世論調査でも支持率は自民が40%なのに対して、民主党は10分の1の4%で、低迷の極致だ。
野田はもう謹慎しているときではあるまい。集団的自衛権容認をテーマに左派と徹底的な論議に出るときだ。国の動向を左右するテーマである上に、自らの持論である集団的自衛権の行使容認で何らの行動も起こさなければ、政治家としての存在を問われる。他の野党は、維新が容認6条件を出すなど賛成で固まりつつある。渡辺喜美の代表辞任でその動向が注目されているみんなの党も、次期代表になる浅尾慶一郎が10日「渡辺路線継承」を表明した。浅尾はもともと容認論であり、方向転換することはあるまい。公明党も、自民党幹事長・石破茂が衆参公明党1年生議員7人と懇談するなど、代表・山口那津男の孤立化作戦ともとれる動きを見せている。1年生議員らは石破の説得に同調するものが多く、世代の相違が際立ったという。連休明けからは野党と公明党の動きが表面化する流れであり、既に自民党内をまとめた安倍にとっては、千載一遇のチャンスとなりつつあるのであろう。
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