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2014-04-09 00:00
ウクライナ危機がアフガニスタン政策に与える影響
川上 高司
拓殖大学教授
クリミア半島をめぐって、ロシアとヨーロッパおよびアメリカの対立が解消されない。4月1日NATOはロシアとの軍事協力を解消すると発表、アメリカも黒海に艦隊を派遣するなど、軍事的な緊張が高まっている。ロシアは軍事介入を否定しているが、ヨーロッパはロシアがウクライナに軍事介入するのではないかと疑心暗鬼である。
だがその軍事的緊張は、アフガニスタンにまでは届いていないようである。NATOの高官は「アフガニスタン政策ではロシアと上手く行っている。問題はない」と涼しい顔である。ヨーロッパは、アフガニスタン北部からロシアを経由してポーランドに至る北部ルートの補給線に物資の供給の40%を依存している。またロシア製ヘリコプターによるアフガン軍の訓練や麻薬対策でも、ロシアとの協力体制が不可欠である。ロシア側も特に協力を拒むこともなく、協力体制は「ごく自然な流れ」と言う。
一方アメリカにとってもロシア経由の北部ルートは重要である。パキスタン経由のルートは政情不安であり、タリバンの本拠地を通過するためリスクが高くまたコストも高い。国防総省の高官は「仮にロシアが北部ルートを閉鎖してもかまわないが・・・その分コストが嵩みリスクが高まる」ので、うまく行っている現状維持を望んでいる。また、アフガニスタンでは大統領選挙が行われ、アメリカやNATOは今年末までには撤退をする。
アフガニスタンの政情はきわめて不透明であり、ロシアがアフガニスタンの安定に果たす役割は重要となってくる。欧米諸国としてはロシアの力が必要なのである。要するにウクライナ危機はロシアと欧米の関係にそれほど影響を与えていないということである。ロシアと欧米は結局はウイン・ウインの関係なのである。
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