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2014-03-29 00:00
増税デフレにはもう一段の円安誘導が必要
田村 秀男
ジャーナリスト
消費税率8%への引き上げが近づいたが、増税を推進してきた政府、それに賛同してきた日銀、財界、主流派メディアに錯乱の気配が漂っている。まず、政府。内閣府が17日に発表した3月の月例経済報告では景気の回復基調継続が「期待される」と弱々しく言い、海外景気の下振れという「リスク」と、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が「見込まれる」と、ひとごとのように解説している。日銀は17、18日の金融政策決定会合で、「輸出と設備投資の増加が消費税率引き上げ後の個人消費の反動減を補っていけるかどうかが鍵」と複数の政策委員が発言したが、答えは後述するように、火を見るよりも明らかだ。
経済同友会の長谷川閑史代表幹事は18日、ウクライナ情勢や4月の消費増税に市場関係者が敏感になっているとし、「アベノミクスは正念場を迎える」といかにも軽い。増税に反対していたなら、重みがあっただろうに。財務省御用メディアの日経新聞は増税後の景気は大丈夫という論調を通してきたが、さすがに形勢不利と思ったのか、最近は「増税に懸念」という民間の声も少しは紹介し始めた。御用経済学者たちに至っては、あれほど「早く増税しないと日本国債が暴落する」と騒いだくせに、増税後についてすっかり沈黙している。エリート集団の貧困な経済観が世を支配するから、日本経済が混迷するのは当たり前だが、アベノミクスがダメになれば、日本国民全員が奈落の底に突き落とされてしまう。
どうすればよいか。消費増税がアベノミクスを殺す、と一貫して警告してきた筆者としてのとりあえずの結論は、もう一段の円安誘導、である。日本の輸出と円・ドル相場の推移をみると、輸出は数量規模を反映する実質指数で、アベノミクスによる円安効果にもかかわらず、実質輸出は伸びていない。ゴールドマン・サックス日本法人の分析では、2011年から日本の輸出数量は減少に転じ、エネルギー資源輸入量の増加と重なる。貿易赤字は構造的であり、解消は困難という。
日本企業の多くはこれまでの超円高・デフレの間に海外の生産拠点を大きく増強した。すでに国内外の需要を賄うのに十分な供給能力が自動車など各社にあるので、国内で新規設備投資する必要性に乏しい。これが、輸出増も民間設備投資増も期待できないという構造論である。実質輸出指数と円相場の推移に目をこらすと、実質輸出は円相場の上下への振れよりも、水準によって決まるようだ。1ドル=110円から120円台の03年から07年にかけて輸出量は大きく増え続けた。この視点からすれば、1ドル=102~103円という程度の現在の水準では、企業が海外生産を減らして、日本からの輸出に切り替える可能性は少ないが、もう一段の円安局面への移行が、輸出や設備投資の構造的停滞を打ち破れる可能性がある。円安誘導には日銀の大胆な追加金融緩和しかない。
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