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2014-03-26 00:00
(連載1)ウクライナ問題をめぐる日本の真の国益
鈴木 馨祐
衆議院議員
ウクライナ情勢を受けての日本外交のあり方について、この際中立的に動いてロシアに恩を売り、北方領土問題の前進につなげよう、といった意見が一部にあるようですが、これは日本の国益を考えたとき、非常にリスキーな選択だといわざるを得ません。先日の日米首脳の電話会談以降の日米政府のやり取りを見ていると、多少の不安を感じざるを得ません。日本としては、外交・安全保障政策の優先順位を誤るわけにはいかないのです。日本外交の中で、対処すべきものの優先順位は明確です。今の日本のおかれている状況を考えれば、現実の軍事的脅威への対処こそが何にも優先されるべき国益です。北方領土や歴史認識なども我が国にとっては極めて重要な問題ですが、それらは目前の現実的な安全保障問題ではありません。
朝鮮半島をはじめとして様々な目前の地政学的リスクがありますが、日本として何よりもまず優先すべきなのは、中国の現実的な軍事的脅威です。中国人民解放軍の潜水艦の配備や弾道ミサイル、航空母艦や航空部隊の運用等々から判断して、時々刻々と日本に対する中国の軍事的な圧力は現実的に強まっていますし、日本単独でこれに対抗することは不可能です。韓国やオーストラリア、台湾などと複層的な連携を強めることはもちろん重要ですが、その観点から何よりも優先すべきは、日本の安全と東アジアの安定への米国のコミットメントの一点です。
今回のウクライナ問題への対処もその一例です。この問題は、日露二国間の文脈の問題ではなく、国際政治の中での相対的な問題として見ねば、道を誤ることになりかねません。国際法上の原則的問題があるにもかかわらず、個別の領土問題の得失を優先したとなれば、国際社会における日本の評価や信頼は大きく揺らぎ、さらには、それ以上に、日米関係への影響が計り知れません。
ウクライナ問題で日本がアメリカと完全に歩調を合わせることができなければ、何が起こるのか。日本がアメリカの姿勢を完全に一致して支持しなければ、少しでもふらふらすることでアメリカ側に不信感や不満が生ずれば、誰が最も得をするのか。それは中国に他なりません。中国が、いつものようにロシア側に立つのに慎重だった理由の一つとしては、国内の少数民族問題への波及に加えて、日本の揺れている様を見て、これを日米同盟に長期的なダメージを与えるチャンスだとする判断があった可能性もあります。我々にとって、その策に乗っかることほど愚かなことはありません。(つづく)
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