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2014-03-21 00:00
バブルで富める中国が世界を揺るがすリスク
田村 秀男
ジャーナリスト
現代経済の変動には借金の法則がある。民間の借金が多ければ多いほど景気が良くなる。かと思えば、借金できなくなった途端に大不況に陥る。早い話、2008年9月のリーマン・ショック前まで、米国の消費者は借金しては消費にふけり、米国内ばかりでなく、世界の景気を押し上げた。リーマン後は借金できないので、米景気回復は、はかばかしくない。
日本は15年間ものデフレで所得が減り続け、借金どころではない。企業も借金を減らすことに努め、収益はため込むだけで雇用増や設備投資にカネを振り向けない。1年前に始まった「アベノミクス」で少しカネが動き出すと思っていたら、財務官僚は民主党前政権にまとめさせた消費増税案を安倍晋三現政権に飲み込ませた。国内総生産の6割(米国は7割)を占める家計消費を押さえつけておいて、景気を良くできるはずはない。官僚、政治家、学者とメディア多数派の不見識は恐るべしだ。中国はどうか。リーマン後の中国は、不動産デベロッパーや地方政府が借金しては不動産投資にいそしみ、投資主導型で高度成長を維持してきた。米中の借金の担い手は異なるが、それを可能にする仕掛けは同じく、不動産相場だ。
米国の場合、住宅相場の値上がり分を担保に、家計は金融機関から借り入れた。中国はデベロッパーや地方政府の受け皿が不動産相場の値上がり益を先取りし、理財商品と呼ばれる高利回りの金融商品を銀行経由で販売して資金調達してきた。その利回りは何とも驚くべきだ。償還期間1年、2年、3年とあるが、3年ものの場合、年利9~10%が普通で、中には12、13%のものまである。10%だと、1000万円の投資で100万円の小遣いが入る。道理で、先の春節の休暇では中国の中間層が日本に押し寄せ、ブランド品や空気清浄機などの家電製品を買いあさったはずだ。1年定期預金金利が0・025%が一般的な日本とは別世界だ。が、しょせんは不動産バブルがもたらしたのだから、バブル破裂となった場合、その豊かさは吹き飛んでしまう。
不動産関連投資の資金源別投入額をみると、総額は昨年1年間で12・2兆人民元(約205兆円)。このうち「自己調達額」が38%、4・7兆元を占める。09年初めから5年間の自己調達総額は16・5兆元に上る。他方、国内銀行融資は5年間で7兆元余りだが、中国人民銀行統計によれば、不動産向け融資は同期間で9・3兆元も増えている。理財商品のうち半分は銀行が保証しているので、不動産バブル崩壊になれば、銀行の灰色(焦げ付きリスク)債権総額は17・5兆元(約300兆円)前後、中国の名目GDP(国内総生産)の約30%に達しよう。中国不動産の値上がりが続いて、日本の消費増税デフレとなれば富める中国人と貧しい日本人の構図となるが、暴落すれば、その規模から見て、日本ばかりか世界を揺るがす。
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