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2014-03-08 00:00
(連載2)「羽生・浅田モデル」でモノ作り復活目指せ
田村 秀男
ジャーナリスト
「世界初」という文脈で考えると、日本の産業界の動向が気がかりだ。代表例がパソコン事業からの撤退とカラーテレビ事業の分社化を発表したソニーである。ソニーは年配者にとっては「世界初」を得意とする日本企業の代表だったし、筆者もかつて海外取材のときには高性能のソニー製テープレコーダーを誇らしげに携行したものである。1950年代前半のトランジスタ・ラジオの世界初の実用化への挑戦に始まり、トリニトロン・カラーテレビ、ウォークマンなど、世界唯一無二の技術を誇った。
ソニーに限らず、家電を中心とする日本の電子・電機産業はこのところ縮小に次ぐ縮小、撤退また撤退という悪循環にはまっている。そんなときの結弦君、真央ちゃんの活躍は、日本に生きるわれわれを奮い立たせてくれる。
モノ作りでの「世界初」や「世界無二」に対する目標意識は、収益最優先の米国型資本主義には見られない日本のビジネス風土と言ってよい。超精密の機械や電子機器部品では、宇宙・航空用やスマートフォン用部品など、日本でしかできない分野は数多いし、その多くは中小企業が担っている。
気になるのは大企業のビジネス文化である。ソニーもその例だが、株主利益を最重視する米国型グローバリズムの波に押され、収益性が低いとさっさと切り捨て、新規事業分野にはM&Aで手っ取り早く進出しようとする。自社の人材や蓄積された技術を信頼して世界初の技術や製品を生み出す情熱と哲学がうせているとすれば、日本の強みは発揮されない。短期的な利益追求では、失敗するリスクの高い世界初と取り組む社内文化が生まれないことは、往年の名経営者たちが一様に意識し、自戒してきた。民間も政府も「羽生・浅田型スピリット」を日本型成長モデルととらえて、成長戦略を再構築すべきではないか。(おわり)
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