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2014-02-18 00:00
新年度予算は「超緊縮予算」と言った方が正確
田村 秀男
ジャーナリスト
先月24日からの通常国会で、今年度補正予算案と2014年度予算案の審議が始まったが、政府は「財政支出拡大」で4月の消費税増税後の反動需要減に備えると喧伝、大手メディア各社は公共事業などの「大盤振る舞い」を批判している。だが、政府、メディアとも真実を伝えていない。「超緊縮予算」と言ったほうが正確である。そもそも景気との関連で予算を考えると、公共事業など政府が直接負担する「真水」部分に目を向けるのがスジである。真水は昨年1月の大型補正で5兆円(うち公共事業2・4兆円)、今年度補正予算案では3兆円(同1・03兆円)となっている。
補正と本予算を合わせた「15カ月予算」として真水を公共事業に限定すると、真水規模は13年度10・3兆円、14年度8・96兆円で、1・3兆円縮小する。さらに14年度は消費税増税で家計の負担増は8・1兆円、公的年金給付カット1兆円を加えると、10・4兆円の真水を政府は逆に吸い上げることになる。もっとも、政府も資材購入などで消費税分を1兆円余り負担するので、その分を勘案すれば9兆円余りの真水減となり、国内総生産(GDP)のうち2%前後を押し下げる。
民間エコノミストの中には、税の自然増収分もカウントすべきと指摘する向きもある。自然増収の伸びは名目経済成長率の3倍程度で、名目成長率を2%と仮定すると、13年度の前年度比税収増は2・7兆円、14年度は2・8兆円が見込まれる。この増収分を考慮すると、14年度は名目GDPの2・6%分が削減される。13年度の名目GDPはアベノミクス効果で第3四半期は前年比で2%余り(12年度は0・22%)と急回復しているが、今年度は再びゼロ%以下の成長に舞い戻る恐れがあるのだ。「アベノミクス景気は衰えず、今年も続くはず」と考える方もいるだろう。筆者も杞憂に終わることを望んでいるが、経済データと現実を直視すべきだ。
経済というのはしょせん、家計消費、企業の設備投資、公共投資と輸出で決まる。GDPの6割を占める家計を押さえつけていては、他の項目で挽回するのはかなりしんどい。円安・株高でも企業の設備投資と輸出は盛り上がりに欠ける。雇用の3分の2を占める中小企業の多くは円安に伴う原材料価格上昇分を販売価格に転嫁できないくらいだから、賃上げは難しい。大企業を含め消費税増税後のデフレ圧力を吹き飛ばすだけの賃上げの見通しは立っていない。甘利明経済財政担当相らは来年10月からの消費税率の追加引き上げについて、今年4月以降の景気情勢を見ながら12月に最終決定する意向だが、それよりも景気悪化に陥る事態のほうが重大だ。そうなれば、せっかく芽生えたアベノミクスによる日本再生の希望がしぼんでしまう。国会は超緊縮財政を直視して論戦すべきだ。与野党問わず増税に賛成した議員は特に責任重大だ。
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